母の一周忌は、身内だけで。

3日前は、母の一周忌だったが、今回は身内で墓参りだけをした。数カ月前から、私は母の一周忌のことが気になっていた。去年の四十九日法事のように、母の親戚を集めて通例のお食事会を行うのか、お坊さんに墓の前でお経をあげてもらうのか。しかし、父はそんなことはやめようと言った。そして、墓参りは父と私と妻の3人だけで行った。

思い返せば、去年の四十九日法事の食事の時、20人くらい母の親戚が集まった。私は妻と父と3人のテーブル。その他にもテーブルは5つくらい。母の遺影を飾っての食事会だった。みんな賑やかに思い思いの話しをしている。30分くらい経ってから、父がぽつりとつぶやいた。「誰も、お母ちゃんの話をしてへんのやな」と寂しそうに。父は悟ったんだろう。こんなことをしても、おかあちゃんの供養にはなれへん。

ま、それに母は88歳で亡くなったのだから、その縁のある親族も高齢になっている。また、食事に招いても、却ってお供えとして用意する家族もいる。気遣いが、気遣いを呼び、余計な金銭的な負担をかけることも事実だ。それにしても母の葬儀の時に、香典の辞退は、父の適切な判断だった。受け取っていたら、後の香典返しが大変だったもの。

3人だけの質素な一周忌。でも、お墓に供える花は豪華にしてもらった。花が好きな母はきっと喜んだと思う。その日は、夏を思わせるいい天気だった。