父は、午後に退院した。

この午後ってのに意味があるらしい。父は10日に退院することを勝手に決めていた。先週の治療が終わった次の日に父は、10日の暦はなんや、と聞く。調べると先負だった。父は、先負だったら午後やな。病院で昼飯食べてから帰ろうかと。私はふんふんといいながら、黙って聞いていた。

あとで妻に、暦で退院の時間を決めるってありなの、と聞くと、田舎じゃ結構気にするのよと言う。つまり先負だから、昼から退院。大安や友引なら、いつでも良い。先勝なら、午前中に退院するのが良い。ということになるらしい。ちなみに先負は、せんぶ、せんぷと読むらしい。どうりて、さきまけですんなり変換しないはずだ。

さらに妻は言う。田舎では、友引の日は火葬場が休みのところが多いのよ、と言う。友が冥土に引き寄せられるらしい。そんなの迷信じゃないかと私は言うが。まあ父だって、縁起を担ぐってこともあるから、父の意向に沿って何事も。

そういう私だって、妻と婚姻届を出したのは大安だっけ。うん、調べてみると2006年11月5日は、確かにあははの大安。しっかり験を担いでいるわ。てなわけで、皆さんも験を担ぐときは暦を利用しましょうね。

そして父は、ダンヒルのストライプ柄カッターシャツに、自分では百貨店に取りに行けなかったバーバリーのジャケット。ボトムはお気に入りのジーンズで。それらを着こなして、病室を出て、ナースセンターで主治医や看護師さんなど挨拶を済ませて、退院した。