がんばっている、ロールケーキ。

最近のロールケーキって、上品な甘さ、まろやかなクリームとか、味わいの繊細さばかりを争っていて、とにかく極上を突き詰めようってのが多いですよね。コンビニでも、様々なスイーツを売っているし、いわゆるケーキには、ちょっとうんざりでした。でも、妻はスイーツが好き。そりゃ、女性は甘いものには目がない。しょうがありません。で、妻が、たま〜に、奈良県にある、大和路へぐり道の駅で買ってくるロールケーキ。ネーミングは、農ロール。これがなかなか、おいしい。季節ごとに、味わいを変えている。というより、農の字のごとく、地場で取れた野菜を、ロールケーキに使っているんです。そりゃ味わいは、大分日田の豆田ロールや、大阪の堂島ロールには劣ります。そこまで、洗練されてはいない。でも、生地に、クリームに、しっかりと地場の野菜を練り込んで、仕上げてある。これが小粋なんです。

ちなみに、農ロールの冬バージョンは、スポンジの生地に小松菜やサツマイモを使っている。で、クリームには、サツマイモと小松菜の軸なんでしょうか、が入っている。それらの存在感がいいんですね。サツマイモでほっこり。小松菜がかろうじてシャキシャキっと。食べると口の中で、サツマイモのおいしさがしっかり味わえる。で、小松菜がシャキシャキ。いいバランス感覚です。クリーム一辺倒ではなく、野菜が入っているから、食べた後も、しっかりとお腹に残って、スイーツではなく、カラダにいいおやつを食べたっていう感じ。ちょっと遡ると、農ロールの秋バージョンは、クリームがサツマイモで、生地にはカボチャが練り込んでありました。夏バージョンは、クリームに枝豆で、生地にはトマトとブロッコリー。なかなか、面白そうでしょ。生地やクリームに、果物を使うのはよくあるのだけれど、野菜を使うなんて意外でした。農ロール、着飾ったほどの美しさはないけど、誠実というか無骨で生真面目なおいしさがあります。奈良には、こんなおいしさがあるんですよ。また、春バージョンにも期待しましょ。

ところで、ロールケーキって、いつから、ただクリームをくるんだようなケーキになったのでしょうか。私が、子どもの頃に好きだったロールケーキは、スポンジケーキのくるんくるんが2重か、3重くらいになっていて、スポンジの間にクリームが挟まっているという感じだったと思う。でも私は、スポンジの間がクリームより、イチゴジャムが挟んであるのが好きだった。ほわっと甘いケーキの中に、甘酸っぱいイチゴジャムが入っていて、こんなにおいしいものはない、と思っていた。だんだん、慣れてくると、くるんくるんと丸まっているスポンジケーキを、わざわざベロ〜ンと伸ばして食べたこともあったっけ。遊べたんだよね、昔のロールケーキは。2重以上のロールケーキって、どこへ行ったんでしょうね。