昨日、猫の殿が逝ってしまいました。


この数日はへろへろになっても懸命に歩いて、水を飲みに行ってはすぐそばで休んで横になり、しばらくするとまた起きて水を飲んでは横になる。起きて水を飲んで、今度はふらふらしながら歩き出す。私がどこに行くのかと見守っていると、トイレに入ってシーシーをする。こけそうになりながらトイレから出て、やっとこさベランダに出てはいつもの場所でぐったりする。近日はそんな様子が続く。日に日に衰えているのは私たちの目に見てわかります。ちょっと抱き上げてもすんごく軽くなって、カラダの感触も骨と皮だけになっている。見かねて時々妻がちゅるちゅるを開けた口に入れようとするのですが、前足でイヤイヤしながら顔を背けようとする。水をスポイトで入れようとしてもやはり同じ。猫のプライドなんですね。欲しいものは自分の脚で取りに行く。トイレも自分自身でしっかり済ます。砂かきはしなくなりましたが。もう一週間くらい前からいつも食べていたカリカリは全く食べなくなった。もう歯がダメなんでしょう。昨日の午前中に妻が殿の顔を見て、眼が白くなっている、と言っていた。眼も見えにくくなっているのかもしれない。昨日の朝も、いつものようにふらふらで時間を掛けて水を飲み、腰が砕けそうになりながらもトイレでしっこをして、ベランダの箱の中に入った。昼前頃に、いつの間にか箱から出てきてベランダのタイルの上でぺたっと寝ている。タイルの上はひんやりして気持ちが良いのでしょう。私がしばらくベランダを離れたとき、何か声が聞こえた。殿を見ると、ガアと口を開けながら前足を懸命に伸ばしている。それが2回、3回と続いた。一瞬けいれんなのかとも思ったけど、5回目くらいでお腹の動きのないのがわかりました。つまり肺が動いていない。声も出さない。カラダの動きもすっかり止まりました。胸の下だけ小さく微かにポコポコ動いている。心臓だけ鼓動を打っているのでしょう。手も口も頭も動きません。殿、殿、呼べども反応がありません。涙がぼろぼろ落ちてきます。しばらくすると胸の小さな動きもなくなった。逝ってしまった。殿も19歳。とっても高齢ですからいつかは、とは思っていましたが。2週間前までは元気にベッドにも上ってきて、いつものように私たちの間で寝ていたのに。もう動きません。数々の殿の思い出が頭をよぎっていきます。涙が止まりません。マットの上にベランダの毛布を敷き、殿を寝かせて前脚には大好きなお魚のおもちゃを挟みました。なんだかお魚で遊んでいるようにも見えますが、やっぱり動きません。そばにちゅるちゅるも2本添えて、さあ、これからお別れに行ってきましょう。殿、長い間ありがとう。本当にありがとう。