もっと早く、陸と出会えていればなあ。


犬の陸が妻の元に来たのは、14年前の2000年5月。生涯を15年で終えた陸と私との付き合いは、ほぼ7年間。私と妻とは8年前、私が53歳、妻が52歳のときに結婚して、7年前から大分でみんなと暮らし始めた。つまり、陸は妻の連れ子ってわけ。さらに、その連れ子には、陸より1歳年上の猫の殿と、半年だけを一緒に過ごしたその当時17歳の犬、ワンチ君がいた。陸とは、大分で暮らしはじめたその半年ほど前、妻の実家に初めての挨拶に行ったとき、ほんのちょっと会ったことがあるだけだった。妻が運転するクルマで岡山の郊外の、実家に近くの駐車場に止め、妻が暮らす家の表玄関、そのガラス戸に大の字になってお腹を見せている犬がわかった。さすがにシェパードはでかい。妻は、まだそのときは妻ではないが、家に入り陸を私の方にひっぱりだしてきた。体勢を低くしてクンクンと私を伺いながら近寄って来たが、私は触れなかった。近くに来るとやはり大きい。それにシェパードだから、やっぱり恐そう。妻が「よろしくね」と言って、また陸を引き戻して家に入ったのだが。そうか、こんな犬たちと一緒に暮らすのかと思うと、犬や猫と暮らしたことのない私はやっぱり不安の方が大きかった。そして、大分でみんなで暮らし始めて、最初の陸との散歩はなかなか手こずるものがあった。これが毎日続くと思うと、途方もないように思えたものだが。ところが一週間くらい続けると、陸はいろんな所に連れて行ってくれる。もちろん散歩は陸の気が向くままにおまかせ。陸もその場所は初めてだろうけど、私も初めて見る光景がだんだんと楽しくなったものだった。陸たちとの暮らしは最初の1年が大分ではじまり、その後は奈良暮らしとなったが、いまから振り返ってみると楽しくも短い7年間だったと思う。生きるのものは、いつか死を迎えることもわかる。それに、陸は大型犬にしては15歳と長生きしてくれたが、今となっては短い7年間でしかない。いまさらなのだが、もっと早く陸たちと暮らす、つまりは妻との暮らしを早める方策はなかったのか、と、時々考えることがある。陸の幼い頃にもしっかり会っておきたかったなあと。ま、そんなことを言えばきりがないのは承知なのだが、陸との暮らしを振り返って思う。もうどうしようもないんだけど、ね。今日は陸が亡くなっては2カ月。写真は大分での陸。8歳だけどやっぱり若いね。