深夜に響く「ひゃ〜」の声、「ぷぷー」の音。


入院3日目にして、部屋を変わりました。ま、前の部屋は、おそらく私だけが60代で、あとのひとは80代だったのかな。カーテン越しに聞こえる話しが面白かったんだけど、ちょっと世代が離れた独特の雰囲気からはやっと解放されたかな〜というやれやれという気分もあった。さて次の部屋は、我が儘なおじいさんもいませんよ〜に。と、思ったら、大間違いだったんですよ、夜が。向かいの患者さん、この人は70代なのか、時々、奇声をあげている。昼間からですよ。最初は何事かと思ったのですが、どうも、これも寝言だったみたい。看護師さんなどのスタッフはしょっちゅう来ています。「ごはん、まだ食べへんの〜。食べようよ」。「じゃ〜、おいとくから食べてね」と行っては去っていく。この人もなかなか我が儘で、食事をなかなか食べようとはしないみたい。で、隣の人はお腹がはって、なかなかつうじが出ないとか。いろいろな下剤を試しているらしい。さて、夜です。もう夜の9時過ぎです。「ひや〜、おーい、たばこ1本くれー。おい、たばこや」という声。完全に寝言です。さらに、「おーい、おーい」と呼ぶ。そこに、看護師さんがやってきた。「どうしましたかー」と尋ねる。「子供は、子供は」という。「私、子供いてるで〜」と看護師さん。「どこや、こども」。やっと看護師さんも、患者の言っている意味がわかって、「ここは病院ですよ」。「えー、なんでや。なんで、病院にいるのんや」。「もう、長い間、入院してはんねんでー」。「そうかー。ほんで、誰も返事せーへんねん」。向かいの患者さんもやっと状況が飲み込めたようです。そうか、入院が長かったんだ。だから、家に帰りたかったんだろうな。なので、願望としての家にいる夢を見たのだ。さらに消灯後の深夜になると「もう、おまえ、どこでねてんねん。もう寝るかー」とか、「ふろ、わいたんのー、ふろはー」とか、家にまつわる寝言が多かった。で、静かになったら、今度は隣から「ぷー」と音が響く。そういえば、夕食後にやっとやっと、お通じがあったようです。その余韻なのか、「ぷー」という響きが度々あった。お腹が元気で何より。次の日に私は、おしっこの管をやっと外してもらって、カラダすっきり。これで、明日には退院できます。もう一日の我慢、ガマン。窓の外を飛び交うツバメのように、自由に歩き回れます。飛べないけれど。