あるきかたがただしくない、という漢字。


私ですが、あるとき、ふと、ふりがな、というか、読みの長い漢字にはどんなのがあるのだろう、という素朴な考えが頭の中に、ぽっかりと浮かびました。とっさに思いつくのは、承る、という漢字です。ふりがなは、うけたまわ、の5文字ですよね。そんなわけで、ネットを調べてみると、なんでも、「あるきかたがただしくない」という漢字があるそうです。瓦という漢字を、辶(しんにょう)のようにして、古い草冠に、□をふたつの、ふるとりを書くみたい。で、本当にそんな漢字があるのか実際に確かめてみました。もちろん、図書館で調べるしかありません。そして頼るは、大修館書店の大漢和辞典です。百科事典のような分厚いのが13冊と索引1冊。分厚い14冊を前にして、なにから調べていいのかわかりません。とりあえず索引から調べます。訓読みで、あるきかたがただしくない、と。ありました、ありました。7巻目の1016頁にあります。ん、ん、ん。センと読むんじゃないかい。で、用例。セン、行不正。ん、ん、たったそれだけかい。行くは正しからず。これって、おこないがただしくない、かもしれないじゃん。本当のところはどうなのさ。諸橋轍次先生、早い話が不正行為なんじゃないの。などと、重くって分厚い大漢和辞典を抱えながら考えこんでしまった。まあ、読みが長いって、それだけでも話題にはなるだろうけどさ。受け狙いなんだろうか。それにしても、大漢和辞典には5万以上の漢字が収録されています。でも、古代中国で生まれた漢字は10万をはるかに超えるらしい。常用漢字って、ほんの2千とちょっとだから。中国って、そんなに文化が豊かだったのにねえ。ほとんど簡体字にしちゃって、もったいないねえ。でも、大漢和辞典って、つらつら眺めているだけで楽しいですよ。変な漢字ばかりなんだけど、知っている部首で組み合わされているから。これから、図書館通いが楽しくなりそうです。皆さんも図書館で、大漢和辞典をぜひ、お手にとってご覧ください。とっても重いけど。