入院の日々を振り返る。


私は午前中に病室に入り、昼の食事が済んだ頃、隣のベッドに新しい患者さんが入ってきた。この部屋は4人部屋で、その場所は午前に退院した人がいたベッドだった。妻は私の昼食が終わると同時に帰っていったのだが、つかのまの静寂もすぐに終わった。隣の患者は奥さんと娘さんに付き添われての入院のようで、しばらくしてから、息子さんと覚しき声も聞こえて賑やかさが小一時間は続いたろうか。隣の家族もやがて帰り、ある時、ふとその患者さんと顔が合って挨拶をした。年齢は私より5歳くらい上かもしれない。ちょっと話しをすると、やはりその人も血尿が出て泌尿器に通い、初めて膀胱内の切除術を受けるということだった。私の同じですね、と。しかし、その人は全く喫煙暦がないと言っていた。タバコを吸わない人でもなるんだなあ。で、その人は初めての手術と言うことでかなりの不安感を持っていた。なので、私も自分の症状を説明し、診察医や執刀医が信頼できることを説明した。これって、ここの病院を紹介してくれた友人でもある医者が言っていたこととほぼ同じなんだよね。自分が安心できるから、人をも安心させることができる。改めて友達の気持ちがしみじみとわかった。次の日の手術は、私は12時からの予定で、その人が9時30分からということがわかった。がんばるのは医者なんだけど、お互いにがんばりましょうと言い合う。まあ、所詮はまな板に乗ってしまった魚なんだから、お手柔らかにと祈るしかない。次の日、私の手術は1時間以上早くなって、10時45分に手術室に向かうことになった。前の人の手術が予想以上に早かったらしい。なんで1時間も早いんだ。思った以上に患部が小さかったか、あるいは。などと考えながら、私は手術室に向かう。要は、そんなことを考えながら気を紛らわせているのだ。いくら慣れっこの4回目でも、やっぱり嫌だよね。そんなこんなで、いつもどおりに終わった。