イタチが庭を走った。


一昨日のことだ。ガサゴソと、何かを掻きむしるような音がする。カラスがくちばしを塀か木の幹で研いでいる音ではない。まさか、我が家の猫、殿ちゃんが脱走して外で爪を研いでいる音でもない。研いでいるとすれば、もっと鋭く太い爪のよう感じだった。その音はほんの数秒で消えた。で、日が差し込む部屋から庭を見ていると、ささっと何かが動き、消えた。きつね色の、細長い物体。毛がふさふさとして、まるで毛皮の首巻きのような。また、かさこそと横切った。イタチだ。別の部屋から、その庭の方を伺うと、かさこそと逃げていった。結構、かわいい。逃げていく様が、なかなかユーモラス。見ていて楽しい。でも、なんでなんで、こんな住宅街にイタチがいるの。そういえば、奈良に引っ越してから数カ月経ったとき、いろいろ近所を散歩いるなか、若葉台3丁目あたりで、イタチを見た。その時は、イタチかがわからなかったが。道路脇の溝から、ヌッと細い顔を出してあたりを伺い、サッと消えた。もちろん、ネズミではない、猫ではない、リスにしては大きい。いろいろ調べてみて、イタチだとわかった。でも、なぜいる?ペットだったけど、脱走した。山奥からはるばる近郊に出てきた。20年くらい前、東京の杉並区に住んでいたとき、すぐ近所に豊多摩高校があって、グランドの囲むフェンスの内側は雑草やら笹が生い茂り、鬱蒼としていた。その中で、5匹くらいの狸の家族を見たことがある。その翌年に高校の校舎は建て直され、グラウンドも綺麗に整備された。当然、狸の親子も見かけなくなった。とっくにそんなことも忘れてしまっていたが。さて、我が家で見かけたイタチは、一匹だけ。それとも家族はいるの。野良猫との住み分けはどうしているの。数々の疑問が湧いてはくるが、手を差しのべることはできない。また、愛嬌のある姿を見せてくれるといいが、とにかく元気で。イタチの写真は撮れなかったが、庭の花の写真をかわりに。