40年前に買った、ラコステのシャツ。


この前、妻が箪笥を整理していると、ボロボロになった古いシャツが出てきた。色は濃紺、生地は鹿の子編み。デザインはポロシャツではなく、Tシャツタイプ。もう袖口はボロボロになって、とても着れそうにはないが、ざっくりとした鹿の子編みは、今日ではめったと見かけない丈夫な作りです。そして、胸にはその当時に流行ったワンポイントマーク、ワニをモチーフにしたラコステです。私がこのTシャツを買ってもらったのは、今は60歳目前の私が高校を卒業した頃だったと思う。私が通っていた奈良の高校は、普通の高校だから当然制服。だから、制服以外のカジュアルウエアってそんなに持ってはいなかった。ジーンズだって嫌いだったから一本も持ってなかった。だから普段の服装って、カジュアルスラックスに適当なシャツを着ていたんだろうな。ついでに言えば、私はポロシャツも大嫌いだった。あの、衿付きで中途半端なボタンのデザインが嫌いだったから。考えてみたら、嫌いが多いよね。でも、このラコステは気に入っていて、肌ざわりも良く、やせ形だった私の体型にもだぶつくことなくピッタリフィットしていた。そう、ボタン系のシャツって、結構だぶついたところがあるでしょ。結局は、制服用の白いシャツと同じで、その白いシャツに色のデザインがくっついただけ、というのが嫌だったんだろうな。このTシャツを着たのもおろらく10年くらいだと思う。袖口が破れているから着られるはずがない。どうして捨てなかったのか。あまりにも古いものだったから、名残惜しさについつい捨てることができなかったんだと思う。実は、袖口に同じような色糸で綴った後がある。気に入っていたんだ。なにより、生地本体は丈夫だからね。さて、ラコステのシャツ。捨てるんだけど、妻に頼んで処分するウエアの生地だけを集めてクッションを作ってもらうことにした。だって、昔の生地はとっても丈夫で、捨てるに忍びないから。昔々の着物の生地って、破れたりすると当然繕って、さらには布団や座布団の生地にして、やがては赤ちゃんのおむつにして、終いには雑巾にして、ボロボロになるまで使ったという。ところが今のウエアの生地って、あっという間にボロボロになるから、どうしようもないんだよね。使い捨てのサイクルが短くなって、ゴミが増える。ものを大事にできない人が多くなっている。だから、私はラコステのシャツ、簡単には捨てたくないんだよね。