陸の鼻血が止まらない。


昨日のことです。午前に父を病院に連れて行って、昼に食事をして家に帰ってきました。玄関の入口の前に来ると、ガラスの向こうに陸の姿がぼんやり見える。だんだんと暑くなってきましたから、最近の昼間は玄関のタイルの上で寝るようになっています。そして、ガラッと戸を開けて、「陸、ただいま〜」と声を掛けると、いつものように、起き上がってしっぽを振り、迎えてくれる。ふと、タイルの上を見ると、血が点々と落ちている。なんだ、これは。陸がケガをしたのか。妻に、陸が血を出している、と叫ぶと、陸は鼻血を出していた。よ〜く陸の顔を見ると、鼻の穴からじわりじわりと血がにじんでいる。どうする?と妻に言うと、直ぐに医者に連れていくという。一応、陸が鼻をぶつけたのではないかと、各部屋のガラス戸を調べてみるが、何の異常もない。まあ、陸もそんなへまをするわけがないよね。原因はなんだ?と考えるより、とにかく動物病院に連れて行くことを優先。ところが、陸です。鼻の穴にたまってくる血が気持ち悪いのでしょう。鼻水をフンと飛ばすようにするから、その度に血しぶきのように回りに飛び散る。とにかく、陸を車に押し込んで、しゅっぱーつ。病院に着くまでの間、妻の絶叫が車の中に響きます。「陸、じっとして〜」。その度に、また陸がフンとやってしまう。ちらっと、後ろを見ると車の中は血だらけ。やっと休憩時間中の動物病院に到着。途中で病院に電話を入れてあるので、暗い病院の中に妻は嫌がる陸を連れて入った。私も車を駐めて病院に入ると、中で係の人が洗剤を片手に拭き掃除をしている。そうか、ここでも陸がフンとやったから、血が飛び散ったのだろう。休憩時間で良かった。いつものように患者というか、患犬や患猫の飼い主さんでいっぱいだと大パニックになったことでしょう。最小限の迷惑で良かった。病室に入ると、相変わらず逃げようとする陸。ちょっと担当の獣医さんは手術中で、院長先生に診察していただいた。とりあえず、陸は興奮しているので鎮静剤を注射。ようやく、鼻血も治まった感じです。で、私たちはそのまま陸をあずけて帰りました。なんで、あずけたかというと、本当は本日、陸の脾臓摘出の手術だったのです。だから、今日の朝に陸を連れて行って、手術に望むはずだったのですが、一日早いおあずけになってしまった。

さて、今日の朝です。病院から電話が掛かってきました。手術前の緊急連絡です。なおも陸の鼻血は止まらないようです。でも、手術は予定通りに行うそうです。ただし、鼻血が止まらないので、輸血を行いながら脾臓の摘出手術を行うようです。輸血!?えらく、大層なことになってきました。もうあとは先生方にまかせるしかないのだけれど、これが陸にとって、ほんとうに良かったことなんだろうか。昨日、動物病院の診察台の上で、逃げようとする陸を懸命になだめながら動物看護師さんと押さえていた。そのとき、陸の目から涙が2粒、ぽろりぽろりと流れて落ちた。その涙は、キラリと輝きとってもきれいだった。「陸、泣かないでいいから」となだめたけれど。あの涙は、何?陸のどんな思いから出たものだったのか。苦しい。さびしい。痛い。かなしい。置いていかないで。連れて帰って。陸のこころの叫びを、ほんとうにわかっているのか。今、陸は私たちとは離れてひとりでいる。手術は、どうだったのだろうか。手術だからしょうがないんだけれど、陸を置いてきて、それで良かったのだろうか。元気になってほしいのは当然だけど。昨日まで、ほぼ普段と変わりなく歩いたり寝そべっていたりしていただけに、鼻血にはびっくりしたが。電話で先生は、鼻血が止まらないのは、脾臓の内出血、脾臓外への出血などの影響もあるかもしれないと言った。陸も13歳のおじいちゃんなんだけど、ここまできて急に?内出血に、鼻血?考えても考えても、わからない。