父は、まだ見られるアナログテレビを、捨てるつもりだった。


昨日、父のマンションに行くと、テーブルの上に廃品回収のチラシが載っていた。何かを捨てるつもりかと、父に聞くと、「テレビを捨てやんとあかん」、と言う。さらに「捨てるときに、なんぼかお金がいるやろうな」と。そうか、アナログテレビを捨てるつもりなんだ。でも、待てよ。私は父に「そのテレビ、映らないのか、確認したの?砂嵐が映っていた?」と尋ねた。「そんなん、映らんやろうから、見てない」と、父の投げ捨てたように言う。「それは、試してみないと、わからないんじゃない」と、父に言って、アナログテレビが置いてある部屋に行った。アンテナコードも、コンセントもグルグル巻かれて、後は捨てるだけと準備は万端。「じゃ〜、父さん、つないでみよう」と言って、私は電源コードをコンセント口に差し込む。アンテナケーブルを部屋の端子口に差し込む。スイッチを入れると、テレビは映った。上に大きな文字で、デジアナ変換と書かれている。「あれ、映るのか」と父は驚いたようだった。これで、まだまだ、アナログテレビは見ることができるよ。2015年まで、見られるはずだから。と、父に言った。父のマンションには、ケーブルテレビが入っているのです。でも、91歳の父は、その辺のことをよく分かっていない。マンションに入っていて、ケーブルテレビを引いていて、アナログテレビを持っているのに、そのテレビが映らないと確信して、捨ててしまうような人がいっぱいいるかもしれないですね。