そんなとこ、食べはるんですか。

妻が、たま〜に買いに行く、鶏肉専門店でのお話です。とってもおいしい鶏肉を売っているんだけど、ちょっと値段が高い。だから、たま〜に行くだけなんです。でも、鍋に使うときなど、いい出汁がでます。さらに、玉ひもなどの内臓を買うときもこの店を利用します。で、妻が、玉ひもやレバーや心臓などを買っていたとき、とあるおばあさんが、お店に入ってきました。妻が、玉ひも、レバーとか、注文しているのを見て、おばあさんは妻に「そんなとこ、食べはるんですか」と、怪訝そうに聞いたらしい。妻は、にっこり笑って「生姜をたっぷり入れて、甘辛煮にすると、おいしいんですよ」と答えた。おばあさんは、不思議というかちょっと変な顔になったらしい。

そのおばあさんはその店で、いわば惣菜になった、チキンステーキやモモ焼きをいっぱい買い求めて、「今日は、孫が3人も来るから」とうれしそうに言ったという。待てよ、自分で料理しないのか、と、妻が怪訝に思ったそうな。鶏の内臓の食べることも知らないで、しかも自分で料理しない。ってことは、孫のお父さんかお母さんか知らないけれど、その人も、このおばあさんの鶏肉手料理を食べたことがないことになる。料理を作らないのか、作るのがヘタなのか。ま、どうでも、いいっか。妻が言うには、とっても上品な感じのおばあさんだったという。育ちがいいから、内臓の食べ方も知らないのかも。

おいしい内臓の食べ方を知らないなんて、おばあさん、あなたはなんと不幸な人なんだ。そうそう、思い出した。奈良には、鶏肉のすき焼きというのがあって、そのときに玉ひもを入れたと思う。たぶん。私の遠い遠い記憶だけど。それがおいしかった。たぶん。50年くらい前は、牛肉が高かったからね。さて、妻の玉ひも煮、いつも通りにおいしいです。やっぱり、おばあさんは、不幸な人だなあ。内臓の方が、いろいろな栄養があるのに。そうか、料理がヘタなら、しょうがないのか。私は、なんと幸運なのだろう。妻が妻だったから。なんのこっちゃ。