見かけなくなった、おじいさん。


夕方の散歩で、その家の前を通ると、ときどきおじいさんが玄関前に立っていて、私たちが通ると「陸ちゃん、これから散歩かい。いってらっしゃい」と声を掛けてくださっていた。そのおじいさんをプッツリと見かけなくなった。先日、家の人を見かけたので「おじいさんは、元気ですか」とたずねた。すると「寒いので、家の中にいます。元気です」と。以前は、冬の寒いときでも、庭木を眺めたり、植木鉢を動かしたりしていたのに、ね。ま、元気です、というんだから、こちらからはうかがい知れないが。本当にお元気なら、なによりですが。でも、このおじいちゃんは、ちょうど一年前から、顔の表情が変わってきた。急に目つきがきつくなり、顔がむくんでいた。妻は、きっと腎臓が悪いんだろうという。心配しても、よその家のことだから、どうしようもないが。

そういえば、去年の夏頃に、とある場所で、いつも決まった時間に、決まったコースを、娘さんかに付き添われて、たどたどしく歩いているおじいさんがいた。まるで、退院後のリハビリのような感じだった。それが、暑い夏を境に見かけなくなった。また、もう16歳です、という老犬も見かけなくなっている。夕方の散歩で、何気なく見ている光景。人が行き交ったり、犬を散歩させたり。自動車が通り、バイクが唸りを上げて走り去る。家や、マンションは無表情に佇んでいる。そうそう、人気のない家で、ある時、突然、内装工事かなにかの車が駐車場に入り、玄関から何かものを運び出していた家があった。年が明けると、不動産のチラシに、その家が売りに出されていた。いつも見ている景色のその裏側でも、何かが変わっている。いつも見ている光景でも、その中で何かが消えている。それが世の移ろいなんだろうな。虚しくも、寂しくもあり、しかし新しい何かが生まれてきていればいいのだけど。


先生の逆襲。教諭が生徒保護者を提訴。
とうとう来ましたね。暴れまくる怪獣、モンスターペアレントに対して、ひとりの教師が反撃しました。度重なる苦情で不眠症に陥ったとして、女性教諭が女児の両親に対して慰謝料500万円を求めて提訴したらしい。ま、500万円が、50万円でも5000万円でもいいんだけど、なりゆきが楽しみです。しかし埼玉のこの両親は、市教育委員会だけでなく文部科学省にまで苦情を申し立てているというから、その暴れ方は尋常じゃないですよね。

この保護者は、いつのまにかモンスターペアレントに仕立てられたと言っているが、そもそもモンスターペアレントって、自分がモンスターペアレントじゃないと思っているから始末に悪い。教師の指導方法にも問題があったのかもしれないが、教師にとっては児童同士のトラブルをその場で収めなければならない。

しかし、それを根に持って執拗に抗議するのもどうかなあ。本当は、両者間で話し合えばいいこと。なにより、この児童が問題なくクラスにとけ込めていけたらいいことではないか。先生と保護者は、みんなで仲良く。児童たちもみんなで仲良く。ネットで反応を見てみると、大半の人が先生側に同情し、保護者の方に非があるとしている。真実ははかりしれないが、そんなものでしょ。ただ、この保護者も自分の子どもを守るあまり、子どもの敵を作ってしまうと、この先で困ることになると思う。

で、根本的な問題は、先生に対してクラスの児童数が多すぎるのじゃないか、と。小学校の低学年なら1クラス30人くらいが妥当な人数といわれている。先進国では、もっと少ないところが多い。つまり学校側の人員が少ない。学校側の予算も足りない。だから、親がパチンコに使ってしまうようなお馬鹿な子ども手当てを即刻廃止して、出産費用の補助、育児施設、保育所、託児所や人員の充実、幼稚園や小学校の施設や人員に役立てた方が、よほどいいんではないか。これからは児童を教育するだけでなく、保護者の教育も必要ではないか。モンスターペアレントが社会現象化した時点で、もっとすばやく対応しておけばいいのに。企業の相談センターなどからそ、トラブル解決やコミュニケーションの秘策を学べばいいと思うのだが。とにかく、みんな、仲良く。