1カ月遅れで、食べる鰻重。


土用丑の日のちょっと前に、そのうちに鰻丼を食べに行こうね、と妻に言っていた。いつよ、と妻は聞き返す。わ、私が答えるパターンは、そのうちだよ。いつかだよ。気がむいたらね。の、どれか。だから、妻もアホらしくて、いつか、なんて聞き返さなかった。私が考えるのは、土用丑の日の当日や、その前後には絶対行かない。そういうのに、操られるのが嫌いだから。かといって、秋風が吹く頃もなあ。ウナギの旬てのは、春半ば。もしくは、水温がちょっと下がって気持ち良くなった秋頃。だってね、暑いときは、うなぎだって夏バテしているんだから。そりゃ〜何年か前に仕上がった輸入物の冷凍蒲焼きなら、旬もクソもないだろうけど。

そんなわけで、残暑厳しき今のうちだ、ということで、いろいろネットで調べて奈良市椿井町の二鶴というお店に決めた。入ったのは、午後の1時半くらい。昼飯時も終わったのか、店内は誰も客がいなかった。その日も奈良は猛暑日で、餅飯殿通りは歩く人も少なかった。あんまり暑いから、出掛ける人も少ないのだろう。で、メニューを見ながら、注文しようとする、肝焼きがない、ということだった。おそらく昼時に、注文する人が多かったのかも。ま、私たちは鰻丼、または鰻重と決めているから、大奮発して特上を注文。しばらくすると待ちに待った、鰻重が運ばれてきた。妻は、鰻屋入ったのは初めてという。鰻重を配膳したのは、何年かあるらしいが。

さて、蓋を取る。ぎっしりと鰻焼きの切り身が並んでいて、ご飯が見えない。鰻の色づきも思ったより薄い。タレをかけて、サーッと焼いた感じだ。その分、香ばしい匂いが立ち上る。鰻を一口、頬張る。表面はカリッとして中はふっくら。味は申し分ない。むしろタレが薄い分、アツアツ鰻の味わいが存分に楽しめるというものだ。よく鰻にべっちょりと濃厚なタレがかかっているのがある。タレの味ばかりが強調されて、鰻本来の味が味わえないものが多い。たとえばスーパーや、コンビニで売っている鰻重がそんな感じ。鰻より、タレを味わっているような感覚にさせられる。ま、それはその程度だろう。

さて、二鶴の特上鰻重。鰻を一切れはがすとご飯があらわれた。ご飯にタレがしっかりとかかり、上には刻み海苔がかけられている。ふっくら鰻をしっかりと味わい、タレご飯で鰻を包み込む。もう、最高の幸せ。やはり、鰻の専門店でなければ楽しめない独特の味わいだ。とにかく、おいしい。蓋を取って、肝吸いを味わう。薄い。でもしっかりとほのかに出汁が効いている。私は、こういうのが大好き。よくお吸い物で、塩味をちょっぴり効かせているのがある。ガッカリする。出汁に自信がないんだね。そんなわけで、鰻重を堪能しました。

そうそう、もう30年以上も前だけど、名古屋で2年間暮らしたことがある。その時に、鰻屋さんに行って、特上の鰻重を注文すると、箱は高かったんだけど、それほど大きくない重箱で、ご飯の上に大きめの鰻がどでんと乗っていた。で、食べ進めると、さらにご飯の中にもまた大きめの鰻が埋もれている。これにはびっくりした。とにかく二重の鰻に感激した。いまでも、名古屋の特上鰻重はそうだといいな。

ところで、二鶴の住所は
奈良市椿井町51 椿井小学校の北の通りにあります。
二鶴のホームページはこちら
http://www3.kcn.ne.jp/~nikaku/
定休日や営業時間を調べてお越しくださいね。




鬱陶しいね、プリウスの車両接近通報装置。
とうとうトヨタが、プリウス用の車両接近通報装置を発売するそうな。なんでも、装置の通報音は、モーター音を模した音で、車両の走行状態を想起させるとともに、騒音とならないよう配慮した。車速の上昇に伴い周波数を高め、車速の変化も表す。ということなんだって。これって結局は騒音以外のなんでもない。お役所が、バカなことを決めるから、せっかくの静かな自動車が、普通のうるさい車になってしまった。今後は、HVやプラグインHV、EV、燃料電池自動車についても、そのうるさい車両接近通報装置を取り付けるという。まったくアホかと思う。

そもそも自動車が静かならば、歩行者に配慮して、ゆっくりゆっくり走ればいいこと。私もときどきハッとすることが、それは運転者が注意していればいいだけの話だ。静かすぎて、事故が起こったとかいう話など聞いたこともないから。だいたい世の中、うるさい車が多すぎる。すべての自動車が、HVやプラグインHV、EV、燃料電池自動車に取って代われば、どんなに街の中が静かになるだろうと楽しみにするのだが、それらの車がすべて疑似エンジン音を発したら、とってもうるさいぞ。それこそ、街を行き交う自転車がバイクのような疑似エンジン音を発したら、どうなるかが誰でも想像できよう。疑似エンジン音、愚かな音だ。

人間はそれほど音に鈍感になったのかもしれない。とくにバイクや原付2輪車ほどうるさいものはない。郵便局の配達バイクもうるさい。朝の新聞配達のバイクもうるさい。ピザ配達も。静かな街や環境を取り戻すには、どうすればいいのか。それは、エンジン音を発する自動車やバイクを完全に排除することでしか成り立たないのか。なにか方法はあるはず。疑似エンジン音なんて、時代に逆行しているのだから。