一緒にいると、息が詰まる。


妻が、お隣のご主人と、話しをしていたときのことです。ご主人の奥さんは、1泊旅行で留守だとか。そこで、妻は、ご飯の支度とか大変でしょうとねぎらった。するとご主人は、いつも一緒にいると息が詰まってしまうから、ええねん、と言ったそうな。冗談半分とは思うけれど。

20代で結婚し、子供も生まれて、30代で家を建てる。40代、50代は仕事一筋。リタイヤした頃は、もう子供たちも家庭を持っている。夫婦水入らずなんだろうけど。

そういえば5年くらい前、東京の知り合いの会社で、取引先だった大会社の担当者が定年になったときに、その会社に給料はいくらでもいいから、顧問として机だけ置いてもらえないか、という話しがあったそうな。結局、いくらか出資して、株主となることで、顧問としてその会社に入った。家で奥さんと一緒にいると、息が詰まるらしい。

ま、お隣さんは、そんなこともないと思うが。ご夫婦それぞれに趣味を持ち、それぞれが良く出掛けているし、子供たちもお孫さんを連れて、度々顔を見せている。だから、仲がいいというか、それぞれの独特の空気感が却って、息が詰まる、なんて言わしめているのかも。そういいながら、顔は笑っていたのだから。

さて今日は節分です。鬼は外、福は内。我が家には、鬼なんていません。そうだ、お隣さんも、夫婦それぞれ、心の中に鬼がいないんだ。だから笑ってそんなことが言える。そうなんですね、心の中に鬼を作ってはいけない。心を鬼にして、なんていうけど、あれは間違いですね。かってに鬼のせいにしているんですから。いつも、にこにこ、みんなで、なかよく。やっぱり鬼は心の外。



定年まで、あと3年で退職応募。
友人です。学校を出て就職して、その会社一筋に働いてきたのに、定年まで3年を残して早期退職に応募することになったそうです。その会社は、社員の8%をリストラするという。

で、退職金の割り増しもあって、企業年金の先払いもあって、計算するとこの方が得だというけれど。私もそうだが57歳は難しい年齢です。友人とは会話の中で、もうこの会社はあかん、と言ったきり、それ以上は多くを語ろうとしない。

実は5年くらい前から、その会社は早期退職者の募集を繰り返していた。友人は、なんとかそれをくぐり抜けてきた。会社に居続けることさえ辛かったろう。もう経営側のポストに就くことはできないと知ったのは、5年くらい前かららしい。役員まで上り詰められなかった中間管理職で終わった。

しばらく続く沈黙は、数々の無念を表しているのだ。じゃ〜逆に、辞めたらそんな会社を潰してやれよ。俺がいなきゃ、会社は潰れるんだよ。と、見返してやれ、と私は言った。

そうだなあ、これからゆっくり考えるよ、と言う彼の言葉を最後に私たちは、飲み屋を出て別れた。今は、俺がいなきゃ、なんて気持ちで働いている人は少ないのかな。そして、君の代わりはいくらでもいる、という会社だけなのかなあ。会社にしがみつくことをあきらめた彼に、幸あれ。