陸の好きな、チーズケーキ。


ケーキがないと寂しいね、ということで妻はチーズケーキを焼いた。ちょっと真ん中が割れたのはご愛敬。でもほぼ形も問題ありません。まず早速、いただく。うむ、今回は味が濃厚。味に深みがあってとってもおいしい。

その訳は、クリームチーズを多めに入れたとか。な〜るほど、おいしく作るには、惜しげもなくいい材料を注ぎ込むということか。そんなわけで、我が家は自家製の無添加チーズケーキです。

私たちが食べ始めると、たしたしと匂いを嗅ぎ付けて、陸がやってくる。陸はチーズケーキが好き、というか生クリーム系のケーキは大好き。妻が食べる分の半分を陸は食べてしまった。

私は自分の分のケーキを持って、隣の部屋に移る。またしても、たしたしと足音を響かせて陸が入ってくる。ケーキをパクつく私のそばでおすわり。そしてペロッと舌なめずり。しょうがないなあで、少しずつ。とうとう、小さな一片がお皿に残った。それをじーっと見つめる陸。目が真剣です。いいよ、というとテーブルに足をかけ、ペロッと食べちゃった。はい、ごちそうさま。

今日は寒気も少し緩み、陸の散歩もちょっと長目で。その分、お腹が空いたのでしょうか。いつものご飯は、普通に平らげたのに。まさか、陸もケーキは別腹だったりして。おっと、我が家は今日も、なんでもない日ですよ〜。



クリスマスは、誰もが恥ずかしげもなく、プレゼントできる日。
妻の知り合いから、聞いた話です。その友達は、といっても妻の友達、40代くらいです。その女性が、とある店で手袋を選んでいました。その時、隣りにおじいさんがいて、独り言のような声で「どういうものがいいのか、選んでほしい」と突然に頼まれたそうな。

その女性がおじいさんを見た感想は、なんだかもじもじしていて、恥ずかしそうで、若い店員さんに聞けなかったらしい。きっと、硬く、強情に生きてきた人ですね。そして、恥ずかしさの余り、なんだか怒り口調で「ばあさんにあげようと思って」と女性につぶやいたらしい。

本当に、無骨な人なんですね。で、その人は、つい最近、親しい友達が奥さんを亡くしてしまったとか。そこで、できるうちに奥様へプレゼントと急に思い立ったらしい。むろん、今までにプレゼントなどはあげたことがないと、言ったそうな。そのおじいさんは終始、怒るような口調で言っていたらしい。初めてのことで、おそらく緊張していたんでしょうね。でもその手伝わされた女性は、そんな態度が、却って微笑ましかったと。

あっは、そのおじいさんは、奥様に面と向かって手渡ししたのでしょうか。いや〜、そんな人なら、顔を真っ赤にして奥様に渡したのかな。でも、その女性は、クリスマスだから枕元に置くのもありですよ、と入れ知恵したそうな。いいアドバイスですね。

本当に、いつまでも元気でいいご夫婦であってほしい。でも、面と向かって、ありがとうとか、ごめんとか、心の中で感謝とか、陳謝とか、思っても、言葉に発することができないおじいさんがいるんです。きっと、あたたかい手袋。それがおばあさんの手にあるとき、一緒に散歩するときなんかで、そっと手を握ったら素敵でしょうね。そんな機会を作るために、クリスマスはあるのかもしれない。我が家は、なんでもない日ですが。