父は、子犬のカレンダーを買った。

今日は、父が退院して2日後の外出。もちろん私たちも同伴します。医者には外出するときは、ご家族が付いてあげてくださいと、念を押されていますから。遠出は3ヵ月間は禁止です。そんなわけで、本日は父の補聴器の調節と、ショッピングモールでの買物。

メガネチェーンの補聴器コーナーで調節が始まりました。最近は、微調整をパソコンでするんですね。それに補聴器って、両耳を合わせて40万円以上とか。ちょっと驚きつつも、後ろの会話が気になる私。どうも眼科で遠近両用メガネを処方箋というか最適なメガネデータを持って来店した客。遠近両用にするとレンズは4万円以上。近眼用だと2万円以下のお買得レンズで済むらしい。高価なレンズは、傷が付きにくく、UV加工の薄いサングラスもあるらしい。で、その客は、5万円で5年使うか、1万円の安いレンズを5年で5回買い換えるかですな。などと自虐的な例を店にぶつけていた。私だったら1年しか使えない1万円のレンズより、5年使える5万円のレンズを選ぶけど。でも最近は安いものを選ぶ人が増えたから、品質の悪いものが流行るんだろうな。妻が買ったメガネのレンズは、2週間目で傷が付いた。安いのはダメだね。

店を出て、ショッピングモールへ。今日は土曜日、駐車場はめちゃ混みです。父のためにも、歩く距離が少なく、売場に近い駐車場に入れたかったけど、車は長蛇乗れる。仕方なく、ちょっと歩く駐車場に入れる。ショッピングモールって、駐車場から建物まで遠いから私は嫌い。ましてや足の悪い人や、老人泣かせですから。それでも父は元気に歩く。それも結構速く歩く。無理しないでといいたいが、父はいたわられるのが嫌い。まずは食事して。中華屋に入ったが、五目麺を頼んで失敗。やっぱりラーメンは、ラーメン屋で食べなければ。具がちょっと豪華なだけじゃないか。

いよいよ買物で、まずは本屋。父は新聞1面下の書籍広告を切り抜いて持っている。で、これくださいと。そうやって買う人もいるんだなあ。新聞の書籍広告もバカにできないなあ。次、文具売場で、赤のボールペン。いきなりボールペンのキャップを抜いて試し書き。「これ書けへんやないか」。芯の先に小さなカバーがしてある。試し書き用のボールペンがあるんだけど、父は手に取ったボールペン芯のカバーを外して試し書きをした。それを買うのだから、ま、いいか。A4ファイルのバインダーをふたつ。100円ショップなら安いのに、父は安もんはあかんと、2つで700円。さらに日記帳。毎年、1冊ずつ。父は日々の出来事を短く書き残す。私だったらブログなんだけど。そして、カレンダー。楽しい、かわいい、きれいな写真のカレンダーが並ぶが、私は、大安とか先負とか暦の入った、日付の大きい月めくりを買うだろと。ところが、父が見ているのは、「これかわいいな〜、これどこにある」と妻に言っている。なんと子犬の写真のカレンダ〜。私は、ずっこけそうになった。妻は、目が点に。動物のカレンダーなんて、89歳の父、私が知る限りではまるで見当もつかない。どういう発想で子犬なんだ。犬なんて飼ったこともないのに。私たちが一緒に暮らしている犬と猫、陸と殿の影響なのか。とにかく私たちはびっくりしたが、父にもそんな側面もあるんだと。

地下の食料品売場で、キュウリ、大根、なんやかやと。そして刺身が食べたいから買うんやと。病院の食事では、刺身は絶対でないからね。魚は必ず火を通しているから。いろいろな食材を買った。でも私たちの家で一緒に夕食を食べようといっても、まだ拒否する。そのうちにな、と。「そうや、陸の竹輪を買おたらんと」と言って父は竹輪を買った。「これ、陸にやってな」と言う。じゃ〜父さんが、うちの家へ来て陸にあげてと、私が言う。父は、ほんの10分ちょっと家に来て、父から手渡しで陸に竹輪を与えた。陸も嬉しそうに竹輪を食べたが、父も竹輪を与えるときの顔がこの上なく嬉しそうだった。父と、私と妻と陸と殿と、みんなで楽しく食事ができる日が、実現すれるいいんだけど。ダイニングルームの出窓には、微笑んでいる母の写真もあるんだから。