感じる、秋の気配。


いつものように狭い庭に座って煙草を一服。土の匂いを感じるんだけど、それがちょっと違う。台風一過の庭で、枯れ葉が朽ちて、少しずつ土に帰っていく。そんな匂いなんです。

アスファルトに落ちた葉っぱは、ゴミとなって焼却場に行くんだけれど、この場所では落葉は土に帰ることができる。土に半分ほど埋もれた落葉を引き抜いてみると、長く埋もれていた部分はほとんど朽ちている。そうやって土になるんですね。

土の秋の匂い、そんなことを思ってたんだけど、風が吹いてキンモクセイが香ってきた。ま、秋といえば、キンモクセイの匂いなんでしょうけど。この前も、猫の殿ちゃんが、ガラス戸の隙間から外を匂っていた。君もなにか秋の匂いを感じたんだろうな。

秋の匂いというと、夕食の支度時に近所を歩いていると匂ってくるサンマの匂い。いや鯵かな、鯖かな、鮭ではないぞ。などと焼いている魚の種類を想像したりして。これも秋のひとつです。

庭の一角には萎んだ朝顔の花がいっぱいたたき落とされている。風が強かったからね。土の上に落ちた朝顔も、秋の匂いの一部。土があってこそ植物は育ち、花を咲かせ、また土に帰る。そして土に、秋の匂いを感じるように、冬の、春の、夏の匂いだってあったんだな。などと。


就職を阻む、理不尽な医療コンサルタント会社。
ある知り合いの看護師さんだけど、フルタイムの勤務を希望して病院に応募した。ほとんど内定が決まっていたのに、医療コンサルタント会社が不採用を決定したという。なぜ不採用になったかというと、その看護師さんはシングルマザーで小さな子供が3人いる。そこで医療コンサルタント会社は、3人もいる子供に手が掛かって、たびたびの欠勤も予想され、フルタイムは無理と判断したのだ。

当人は、一番小さな子供が小学生になり手も掛からなくなったので、フルタイムを希望し、なにより生活費を稼がなくてはならない。じゃ〜、他の病院で、といってもその医療コンサルティング会社は、様々な病院に入り込んでいて、たとえ応募しても不採用になるだろうと諦めていた。

コンサルタント会社って、求人にまで口を出すんですね。そういえば奈良の病院で診療報酬の不正請求があって医師が逮捕されていたけど、一部の医療請求や入院患者の生活保護受給者分は医療コンサルティング会社に振り込まれていたそうな。

医療経営の健全化にコンサルティング会社が手を伸ばしていることは知っているけど、コンサルティング会社ばかりが幅を利かせるようになって、あるべき医療の形や、働きたい人の気持ちが歪められるようでは、困ったことになるぞ。

なにより書類だけで為人(ひととなり)を勝手に判断し、実際に面談もしないのは当人にとってさぞや納得のいかないことだろう。人材は、駒でも道具でもない。温かみと優しさを備え、知恵を働かせる人間なのだ。東北の彼の地で、子供を3人抱えたお母さん看護師の頑張りを祈るしかないのだが。