陸が吠える先に、セールスマン。


とある午後。部屋の廊下で寝そべっていた陸が、玄関に向かって猛然と吠える。また、怪しい奴が来たんだな。するとピンポーン、インターホンが鳴る。妻が受話器を取る。ぽこぺん信用金庫ですが、鬼瓦さんの紹介でまいりました。

妻は、鬼瓦さんって存じ上げないのですが。どんなご用件ですか、と聞く。相手は、押し黙っている。相変わらず、陸は、猛然と吠える。

相手は待っていたようだ。窓越しにチラリと相手を見る。30歳前後か、白いワイシャツで髪の毛は短い。しばらくして、ムカッとした表情で、くるりと背を向けた。

家を間違えてんじゃないの。鬼瓦さんなんて知らないんだから。と妻は言う。それとも、ありふれた紹介者の名前を出して、とにかく玄関を開けさせようという作戦か。でもお金のない私んちに来たって、預金するお金はないぞ。

セールスマンはあの手この手を使って、勧誘してお金を巻き上げようと家庭を訪問する。みなさん、お気を付けくださいな。陸、がんばったね。えらいぞ。セールスマン撃退の、力強い番犬です。


裁判員裁判を、犯罪の抑止力に。
初めての裁判員裁判がスタートした。裁判の対象となるのは、ありふれた殺人事件だ。通常の裁判であれば、こんなに注目されることもない。新聞はかなりの紙面をさいて記事にしている。

しかし、そんなありふれた殺人事件が毎日発生している。裁判員裁判のこの制度を止めるべし、と騒ぐ弁護士がいる。冤罪だと騒ぐ団体もいる。私は、ゼロとは言わないが、できる限り殺人事件などは減ってくれよと祈るばかりだ。

裁判員裁判は、普通の市民が、裁判に深く関わり、判決を大きく左右するらしい。裁判員に漏れた人は、内心ホッとしているに違いない。もし、自分たちがその立場に立ったなら。それこそ、背筋が凍る。

しかし、しっかりと考えたい。なぜその犯罪は起こったのか。些細なことが原因で、手にした凶器が人の一生をその場で切り裂いてしまう。死人に口なしというが、亡くなった被害者も言いたいはずだ。

起こってしまった犯罪は消しようもない。ではどうしたら犯罪を防げたのか。そこにもポイントを当てて、裁判員裁判を続けて欲しい。もし制度に無理があれば変えればいいのだから。今の日本、議論ばっかり繰り返して、なかなか前に進まない。まずやってみる。違和感があるなら変える。裁判もそうだけど、スピーディーに。

なにより、どんな人も裁判、人を裁くということ真剣に考え、検察や弁護人、裁判官の固定され錬磨された視線ではない、純粋で素朴な視線で犯罪を考えて欲しい。そして、どうすれば、犯罪を防ぐことができるのか。そんな指針が導き出せたら、ラッキーだな。