都市の老人。

2年前の東京で、ご近所にひとりで暮らす男性のお年寄りがいた。十数年前は、ひとりで近所をジョギングするほどお元気でした。いつからか、自転車に乗っている姿を見た。しかし自転車を降りると、そろりそろりと歩いている。多分、ジョギングで腰を痛めたのだと思う。

このご老人が、誰かと一緒にとか、ご近所の方と話しを、という光景はついぞ見なかった。いつも、ひとりで買物に出掛け、ひとりで家に帰る。お一人で、本当に大丈夫、と思ったものだった。

東京には今も人が流入し続けている。人口が増え続けているのだ。朝、通勤時のターミナル駅は濁流の流れのように人がドッと行き交っている。ギュウギュウ詰めの電車は息も絶え絶えの状態だ。

それほど人があふれた東京だからこそ、孤独な人が際だって見える。特にご老人の方なんかが。奈良にもそんなお年寄りはいる。でも隣近所のお付き合いがあり、顔を突っ込むわけではないが。ある程度の距離感を保ってのお付き合いが、奈良のような地方には根付いている。

東京都杉並区、最寄り駅から徒歩10分の一戸建て。資産価値は高いだろうけど、そんな家でひとりで暮らすご老人。寂しいだろうなあ。でも、維持張って生きているんだろうな。東京は人が多く、賑やかで、ほとんどなんでもある。しかし、そんなブラックホールがあちこちに潜んでいる。ま、私は、そんな東京に、嫌気がさして、おさらばしたのだが。都市の老人。東京で見るからこそ、哀れに思う。



イトーヨーカドーって、何の魅力があるの。

イトーヨーカドーの関係者の方、私に怒らないでください。これは、私の妻の言葉です。先日、初めてイトーヨーカドー奈良店に行ってまいりました。

毎週、水曜日にはイトーヨーカドーの折り込みチラシが入ります。そのチラシって、いつもカラーで、なんとなくまとまっていて、食品なんかはセールの趣旨が伝わってきて、きれいなデザインです。チラシを見ているだけで楽しくなるような、そんな感じ。

で、たぶんチラシのなんとなくいい感じ、に妻は惹かれたのでしょう。奈良店に入りました。ここは、かつて、百貨店のそごうがあった建物です。大きな建物の周囲に、デーンと駐車場があります。車を停め、店内に入りました。試しに、エレベーターで5階まで上り、段々と降りてきます。どの階も、ガランとした印象。さて、1階の食料品売場。

いよいよ売場を歩きます。パッケージものの一般食品は、プライベートブランドの7プレミアムが、結構多い。イオンのスーパーでも、いわゆるPB商品が多かった。鮮魚売場、ものは確かに良さそうねと、妻が。精肉売場、色はいいんだけど、ちょっと値段が高めだよね。

ぐるっと廻って、妻が持つ買物カゴに、商品は4点ぐらい。レジで精算すると1000円にも達しない。どうしたの、あまり買わないじゃないか。すると、妻は、この店って、何の魅力があるの、と私に言う。そうです。なんと言っても、主婦にとっては安さが魅力。肉なら、どこの店。魚なら、この店は物がいい。特売なら、ダントツに安いのはこの店。そんな特色が、各スーパーにはあるが、イトーヨーカドーは、そんな魅力が欠けるのかな。ワクワクするような魅力的なチラシなんだけど、売場に来てみると、なんだかガッカリする。もう来ることはないよね。そんなイトーヨーカドー奈良店でした。