奈良は、雛まつりにちなんだ行事がない。

昨年、暮らした大分では、ひなまつりに合わせた1カ月前後、旧家や資料館などで雛人形や道具類が公開されていた。2年前、杵築に行ったとき、ひいなめぐりというのがあって、旧家や商家だけでなく、街の小売店のような家でも、土間から上がった座敷に雛人形が飾られていた。

去年、行った天領日田おひなまつりは、代々続く商家の多い豆田町地区の旧家や資料館で、煌びやかに飾られていた。男の私にも、見るだけで十分に楽しめるものでした。

ところで奈良は、寺院仏閣が多く、いろいろな伝統行事があるけど、商家や庶民から生まれる、ひなまつりのようなものがないんですね。なんでこんなことを思ったかというと、雛人形って、一年のこの時期しか飾られない。飾られる人形は、各地のひなまつり行事のように、多くの人に見られて、幸せでしょう。でも先祖代々受け継がれた人形で、日の目を見ることもなく、何年、何十年と蔵の奥に仕舞われたままになっているものがあるはず。

だから、そんな人形に光りを当てたい、今の空気を吸わせてやりたい、などと思ったわけですよ。女性の方で、地方から都会へ出てきて、ひとり暮らしで仕事をしている人も多いはず。でもかつて、実家で子供の頃、飾られた雛人形の前で遊んだことがあるはず。そんな雛人形は、実家で、どうなっているんでしょうね。だから、奈良でも、日の目を見ない雛人形は、どれくらいあるのか。できたら表舞台に出してやりたい。などと。

大分県のひなまつり、城下町杵築散策とひいなめぐりは、2月7日から開催されます。天領日田おひなまつりは、2月15日から。九州各地では、そんなひなまつりが多かった。だから、奈良でも、どこかの里のひなまつりがあってもいいんじゃない、と。人形のためにも。


そごう本店売却とは、何事ぞ。

私にとって、そごうの心斎橋本店に、特別愛着があるわけではないが、とうとう本店売却とは驚きだ。そごうの社員は、何をしておるのだ、一体。

しかし、考えてみれば、そごうは2000年に事実上の倒産をしていた。するとその幻影だけを引きずっていたことになる。そして魂は、イトーヨーカドーに買い取られて、ズタズタに引き裂かれたのだ。

所詮イトーヨーカドーは総合スーパーで、百貨店のような老舗ではないし、ブランド力もない。日用品や食品を安く販売するだけの小売り業態だから。そういえば奈良にもそごうはあった。平城宮跡の直ぐそばに、デーンと異様な建物。わたしは一度も行ったことがない。それがイトーヨーカドーに変わったのは、皮肉かもしれない。

30年くらい前、心斎橋に行ったときに、大丸とそごうに立ち寄った。大丸はそこそこ人が入っているのに、そごうはまるで閑散としていた。だから2000年にそごうが倒産といっても、少しも驚かなかった。高島屋三越伊勢丹、大丸、松坂屋など主要百貨店の1月売上げは、軒並み前年同月比10%前後の減少とあった。西武そごうも同じだろう。

だからこそ、関西系の近鉄、阪急、阪神百貨店には頑張ってもらいたい。大丸と高島屋は発祥が京都だっけ。そごうのように、奢った末の倒産劇は見たくないから。あといい商品、長く使えるとか、愛着がわくとか、そんな商品をしっかりと品揃えしてほしい。