ラクダの旅 後半

その音は、直ちにラクダや鳥たちの耳にも届きました。不安になるみんな。緊張が走ります。そこへ、バサバサっと、お母さん鳥が帰ってきました。
「危なかったわ。あそこはダメね。この先の丘の、左の方を歩けば、彼らには見つからないわ。そっちへ行きましょ」と、鳥は左の方を指しました。
「また、オアシスはあるわ。元気を出してあるきましょ。鳥さん、ありがとう。本当に助かったわ」と、ラクダのお母さんは、悲しそうに答えます。
また、ラクダたちは歩き始めました。万一に備えて、歩みを速めています。お母さんラクダは、歩きながら考えています。どうして、あのニオイの中に、この子たちのお父さんのニオイが混じっていたのか。なんで、こんな直ぐそばで。とにかく、この場所はあぶないわ。一刻も早く、ここから離れなきゃ。

その頃、先ほどのオアシスで、1頭のラクダが急に暴れ出しました。それにつられて、他のラクダも暴れます。
「バカだなあ、急に銃なんか使うからだよ」
「すまん、すまん。鳥が見えたんでね。あいつは、焼くと旨いんだぜ」
「おかげで、出発が遅れちまった」
「どうする、このラクダ。仲間のラクダを逃がしたヤツだろ」
「だからバカなんだよ、おまえは。こいつらがいないと砂漠は越えられないんだぜ」
「まさか、逃がしたヤツが、近くにいたから、ってことじゃないだろうな」
「バカ、お前が銃を撃つからだよ」

さて、先ほどのラクダたちは、次のオアシスへ無事に着くことができました。もちろんここに人間はいません。3頭と3羽、みんなオアシスの水をたっぷりと飲むことができました。ホッと落ち着いたところで、鳥のお母さんは、ラクダのお母さんに聞きました。
「どこへ向かうのですか」と。
「この太陽が沈む方向に、人間たちが絶対に来ることができない草原や森、湖があるの。そこへ向かうのよ」ラクダのお母さんはうれしそうに答えます。
「あなたがたも、一緒に行きませんか。さっきは、あなたのおかげで助かったもの。力を合わせたら、きっとたどり着けそうな気がするから」

一頭の子ラクダが、お母さんに話しかけました。
「さっきのニオイって、懐かしい感じがしたよ。あれは、お父さんなんでしょ。だったら、助けたいよ」
ラクダのお母さんは、しばらく考えていいました。
「そう、あれはお父さんよ。私たちを逃がしてくれた、お父さん。私だって助けたいけど、人間に捕まったら、もう助けられないわ」
「どうして?僕たちは、この砂の丘を、水も飲まずに1週間は歩けるもの」
「そうね、私たちは、この砂漠でがんばれるわね。でも人間は、怖いのよ。彼らは、火や恐ろしい道具を使うのよ。さっきのオアシスで音がしたでしょ。あれは銃といって、遠く離れたものを殺すことができるの。まだまだ、怖い道具を、人間はいっぱい持っているから」
その時、遙か上空でまっすぐに走る線のような雲が、少しずつ伸びていった。真っ青な青空に、一筋の白い雲。その先端は、沈みかける太陽を追いかけるように、どんどん伸びる。夕日を受けて一瞬、キラッと輝いた。直ぐに上空から爆音が響いた。ラクダの子供たちは、不安そうに見上げる。
「大丈夫。もう行ったわ。今は、音がするだけ。あれが、人間たちの恐ろしい道具よ」
その音も、やがて夕日を追いかけるように消えていった。
「さあ、そろそろ、出発しましょうか。ここはまたすぐに人間が来るから。夜は、砂漠の方が安全なのよ」
3頭と3羽は、沈む夕日の方角を目指し、オアシスを後にして歩き始めました。みんなが信じているのは、いわば楽園なのでしょう。ラクダたちの旅は、まだまだ続きます。

はい、とりあえず「ラクダの旅」は終わりです。また、気が向いたら、続きを書くかもしれません。ま、その気になったらですが。



コラーゲンは食べても、アミノ酸に分解されるだけ。

コラーゲン入りのサプリメント、いっぱい販売されてますよね。食べてお肌がプルプルになる。広告もいっぱい出ています。しかしこれは、大きな間違いです。これと同じような誤解がありました。結論として、食物繊維は大腸ガン予防の効果なし。

10年くらい前までは、食物繊維は大腸をしっかり掃除するので、大腸ガンを予防するには効果的、と言われ続けていました。しかし6年前には、日本をはじめ、世界各国で、食物繊維をとっても大腸ガンの予防には効果がないという調査結果が発表されました。

かと言って、食物繊維の働きは重要です。食物繊維は、ダイオキシンなどの有害物質を吸着し、便として排出します。コレステロール値を下げる。高血圧を抑制する。糖質の吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を抑える。肥満を防止する。大腸菌の善玉菌を増やしやすくするなど、特にメタボ予防にはなくてはならない働きをします。

さて、コラーゲン。コラーゲンは食べても、体内でアミノ酸に分解されてだけ。そのアミノ酸を吸収したからといって、コラーゲンが再生されるわけではないのです。結局は、プルプルのお肌にしようと思えば、バランスのよい食事なんですね。

なんで、こんなことを書くのかというと、数年前までコラーゲン食にこだわっていた友人の娘さんが、バイオの研究所に勤めだしたとたん、コラーゲンは食べても身に付かないと知ったからです。タンパク質やアミノ酸の研究現場に入ると、様々な真実が見えるものです。食物繊維の大腸ガン予防と、同じ誤解です。今日の新聞にもコラーゲンの広告が出ていました。コラーゲンは食べても、アミノ酸に分解されるだけ。それが体内でコラーゲンに再合成されるとは限りませんから。