冷たいですね、という挨拶。
妻が、奈良では、寒いと言わないで、冷たいという言い方をするの、と私に聞く。つめと〜なりましたな。つめたいですね。朝の挨拶で、そんな言葉が出てくるらしい。
ま、普通は、寒くなりましたね、と言うのが常套句なのだが。でも、つめたい、なんて言い方、したっけ。27年ぶりの奈良は、思い出すのに時間が掛かる。
私の勝手な解釈だが、寒いという言葉は依然と存在して、もっと寒いという状態を、つめたい。したがって、すご〜く寒くなりましたね、が、冷たくなりましたね、と。
反対語の、ぬくい。漢字で書くと温いは、岡山出身の妻にもわかるらしい。暖かいではなくて、ぬくい。私流に解釈すると、寒さの中で、ほっとする暖かさが、ぬくい、なのだ。
寒い屋外から、暖房の効いた部屋に入ったとき。毎日、北風ビュービューで寒い日が続いて、突然に寒さが和らいだ日。そんな日を、今日はぬくいな、と言ったっけ。私は、つめたいより、ぬくいが好き。明日から、つめたくなるらしい。
ごはん、いられますか。
友達が、とあるラーメン店に入ったときのことだ。その店では、ラーメンを注文すると、サービスでご飯がついてくるのだ。
味噌ラーメン、と注文すると、店員の女性がコップの水を運んできて、「ごはん、いられますか?」とたずねた。一瞬、えっ、と思ったが、「はい、お願いします」と答えると、その外国人と覚しき女性店員は奥へ引っ込んだ。
奥から、「サービスライスはおつけしますかって聞かないとダメだろう」と、大きな声が聞こえたそうな。応対の仕方を注意しているらしい。で、数分の教育的指導をしているらしい。
最後の女性の言葉が、微かに聞こえてきたらしい。「サービスライスは、おつけします、か」と。そこへ、お客さんが入ってきた。女性が、いらっしゃいませ〜、と奥から出てきた。
客は、醤油ラーメンちょうだい。すると女性は、「サービスライス、いられますか?」と。聞いていた友達は、イライラしたそうな。そこそこ旨かったラーメン屋だが、もう二度と行かないそうだ。景気の悪化とともに、サービスも低下している。安い労働力で、不景気を乗り切ろうとしているんだろうけど、私だってそんな店に出会いたくないなあ。