ピエールシェフは、園芸業に転身。

フランスから腕を請われて、はるばる日本のファミレスに雇われたピエールシェフ。数年前まで、シェフが繰り出すオリジナルメニューは人気を博し、緻密なレシピは各チェーン店でも提供でき、ファミレスながら人気も売上げも群を抜いて大きな成果を上げました。

しかし近年、外食離れが進み、ファミレスはなかなか集客を上げることができません。そこでファミレスのオーナーは、安価な食材と加工品を利用して、見た目豪華で、利益率の高いメニューを作るように、ピエールシェフに指示しました。

メニューの開発調理室に運ばれたのは、冷凍野菜や冷凍果物、加工食品など。どれも海外からの輸入品ばかり。解凍したものをシェフが口に入れると、出る言葉は、ノンノンノン。舌で直感して、これは出せるべき食材ではないと判断する。

それを聞いたオーナーは、直ぐさまピエールシェフを解雇しました。今の日本人はレストランで、農薬に汚染された輸入野菜や、数々の添加物が入った加工品を食べているのか。それがおいしいと感じているのか。ピエールシェフは、大いに落胆します。それからは、輸入野菜や鮮魚の産地擬装。メラミン入りのピザ生地の提供など、様々の事件が起こったのは、皆さんもご存知ですよね。

そんなピエールシェフを癒したのは、小さな鉢の観葉植物。青々とした緑の葉が、シェフには新鮮なインパクトを与えました。私は、食材といえど植物を切り刻んで、焼き、煮て、揚げて人に出してきた。これからは、育てる方に廻ろうと。意を決したピエールシェフは、日本の造園業で働くこととなりました。育てるため。実らすため。花を咲かせるために。トレビアーン。シェフが楽しく働いています。ねえねえピエール、いいかげんにシェフ姿はやめて、もっと園芸職人らしい姿がいいと思うんだけど。ま、いいか、仕事が楽しければ。

はい、お話は、ここまで。

このシェフの人形。前は、カップにぶら下がっていたのに、いつの間にか観葉植物の鉢の中でぶら下がっている。だから、てっきり転職だと。シェフもしっかりカラダを動かせば、このメタボ体型も解消されることでしょう。ここにぶら下げたのは私では、ありません。妻です。



東京都新宿区、都心に限界集落が出現。

ちょっと前の、テレビ東京WBSの特集にあったんだけど、新宿区にある総戸数2300戸の戸山団地は、住民の65才以上高齢化率が、なんと51.6%だって。この団地では建て替え工事も順調に進んだのだが、ひとり暮らし用の1DKを増やしたために、独居老人が増加したという。そして75才以上の6割が、ひとり暮らしと見られるとか。

で、なかには孤独死を迎えるお年寄りもいるそうな。都心は人が多く賑やかで、買物も便利だし、23区内なら電車に乗ればどこにでも行ける。この中に限界集落があるなんて信じられないけど、東京は残酷な面も備えているのだ。戸山団地といっても所詮はマンション団地。どの部屋の入口も同じ作りで区別はつかない。ましてドアを閉ざせば、中の様子は伺えない。元気で暮らしているのか、それとも・・・・。しばらく顔を出さないお年寄りがいたとしても、存在を忘れられていたら、それこそ孤独死だ。

近年、都市の公営住宅に高齢者が集中する傾向は各地でも多い。人間関係が希薄な都会は、住民の多くがひっそりと暮らしている。都心より、開けっぴろげな田舎の方が、お年寄りには暮らしやすいと思う。却って都市の方が、孤独感が強いのだ。

そういえば、私が以前暮らした東京のアパート、マンション住まいの27年間で町内会の回覧板というものが、一度もなかった。ところが大分の貸家に引っ越すと、町内会、自治会、組や班があって、1月に2、3回ぐらい回覧板が回ってくる。お隣さんから受け取り、反対側のお隣さんに持っていく。それでご近所のコニュニケーションも成り立っている。都会には、それがない。あるところも、あるのだろうけど。都市は高齢者には、冷たすぎる環境なのだ。

まさに、ロストジェネレーションのような忘れ去られた世代。都会は、ひゅー、さぶー、と特に、限界集落では寒さが身に染みることだろう。元気のあるうちに、都心脱出、マンション脱出。都会の人間は、隣人などは気にしない。私は50代、そんな東京を去って、よかったと思う。