おいしい皿うどん。でも、何かが足りない。


その夜のメニューを何にするか、妻はいつも通りに悩んでいた。とりあえず、八宝菜と決めたらしい。しかし、あのパリパリの皿うどんを使いたかったので、結局そうなった。

野菜、肉などの複雑に入り組んだ匂いとともに、皿うどんが食卓にのった。これがそのままのおかずなら八宝菜で、下がご飯なら中華丼ってか。そっか、うずらの卵がないのか。

皿うどんというメニューは、20年くらい前に初めて知った。最初は焼うどんのようなものかな、と思っていたが、乾麺のようなパリパリ。これに具を乗せることでしんなりするから不思議だ。でも、なんで皿うどん。結構好きだけど。

さて妻の皿うどん。白菜、キクラゲ、陸君が好きな豚肉に小エビ。などなど。味にはなんの問題もなく、おいしい。でも、何かが足りない。ぼんやりと思っただけで、気にもしなかった。そして、寝る前に突然浮かんだ。

辛子がなかったのだ。そうなんです、皿うどんって、辛子を混ぜる人、結構いますよね。なんでかわからないが、辛子です。牛丼に七味を振りかけるようなものかもしれないが。あと、皿うどんに、酢をちょっぴり垂らす人もいる。八宝菜や中華丼には、辛子や酢を使わないが、皿うどんには使う。それがまた味を引き立てる。そうか、辛子だったんだ。おかげですっきり眠れました。



日雇い派遣の問題点は、どこにある。

日雇い派遣は、1日以上30日以下の労働で、毎日5万3000人がこれに従事している。派遣法を巡る規制緩和は、1986年に施行され、一部業務に開放されてから1999年に原則自由化となった。
厚生労働省研究会は、日雇い派遣の原則禁止が望ましいとする決定をした。これを受けて政府は、日雇い派遣を禁止すべきとしているが、グットウィル、フルキャストパソナテンプスタッフなどの派遣業は強く反対。さらには日本経団連の御手洗会長が、雇用機会の縮減に繋がると反対を表明。派遣業者と受け入れ企業がタッグを組んで、日雇い派遣とその低賃金化を守り抜こうという形だ。

ある人材派遣会社は、日雇いなど短期派遣の売り上げが、全体の7割を占めるという。日雇い派遣によって会社が成り立つということは、かなりの紹介斡旋料が派遣会社のフトコロを潤しているわけだ。

西船橋の大通りに数十台のバスが停車して、人が乗り込むのを待っている。これらは周辺の工場や倉庫への送迎バスで、日雇い労働者たち総勢1000人を運んでいく。西船橋から出発した1台のバスは、船橋市の大きな倉庫会社に入る。その倉庫では、通信販売商品の梱包作業が行われている。毎日、派遣労働者90人がこの仕事に関わっている。日雇いを使うのは、繁忙期と閑散期の労働者の調整に必要だからだ。

グットウィルは、登録人材が99年22万人。08年には296万人に膨らんだ。フルキャストはしたたかに就職セミナーの開催を始めた。派遣社員に正社員化を促す一方で、企業とのパイプを強めて、相変わらず派遣を紹介し続けている。所詮これらの会社は企業からの斡旋紹介料で成り立っているのだ。ピンハネとは言わないけれど、雇った企業は派遣労働者に賃金を支払うとともに、派遣会社にも紹介料を支払う。そして派遣会社は、どの会社も大企業に成長し、巨大なビルを構えている。人材派遣業が大きくなりすぎて、彼らが持っているデータベースが、産業の隙間を牛耳っているのだ。

今、給与200万人以下の低所得者が急増している。その割合は02年が853万人の19.1%だったが、06年は1022万人の22.8%に膨らんだ。全業種で見ても、特に35才〜39才の平均給与は、00年の495万円から、06年は465万円へと下がり続けている。200万円以下の低所得者の増加は、個人消費を低迷させ、景気悪化の要因となる。今の若者は外食をやめて、コンビニ弁当で済ませている。さらには100円パンを2個で済ませている人も。日雇い派遣禁止もいいが、人材派遣会社だけが儲かる仕組みを、なんとかしないと、低所得者はますます増えるばかりだ。