母の再入院。


その日の朝、父から突然の電話。母の様子が、おかしいと。直ぐに妻と父たちが住むマンションに向かう。マンションの入口で、管理人さんが暗い抑えた顔をこちらに向ける。部屋に飛び込むと、父が懸命に母に呼びかけていた。母はほとんど白目状態で、顔と両腕には激しくけいれんが走っている。

右の脳梗塞の再発か。私は、母の左手の指を握らせたり開いたりを繰り返す。なんかそんなことがリハビリであったような。先に父が119に電話をしたのか、直ぐさま救急隊員が部屋に入ってきた。酸素マスクを被せて、母に呼びかける。

直ちに救急車に収容されるが、まだ出発できないで2〜3分。管理人さんも心配そうに声をかけてくれた。救急隊員は、あちこちの病院と連絡を取っているが、まだ搬送先が決まらないと。前回、最後に入院していた病院のことを告げる。まだ決まったわけではないが、まずその病院に向かって出発すると隊員が私に言い、父が乗り込んで救急車は出た。5分後に、その病院の受け入れが決まったと電話がある。

すぐに呼んだ姉と合流して、病院に向かった。母のレントゲン撮影が行われ、午後にはMRIによる断層撮影。その結果、右の脳に新たな影が表れている。1カ月以上前に起こったもので、それがたまたま今回のけいれんとなった、と医者は告げた。この日の朝、8時30分の母はいつもと同じ様子だった。トイレとかを済ませ、また床につく。母が起き出すのはいつも朝の10時。その前に、父は朝の病院通いを一人で先に済ませるのだ。帰ってくると、母が緊急事態となっていたのだ。

現状として、けいれんを抑制する薬を処方しながら様子を見ると。それから3日が経過して、母は呼びかけに対して懸命に表情を作って反応する。こちらにも顔を向ける。痛い、かゆい、帰りたい、と自分の欲求を言葉に出す。病院側からも命には別状ないという。今日も母はよく寝ている。病院では、夜にカラダを動かしすぎて困るという。また、前回のように驚異的な回復をしてくれるといいが、もう88歳。ただ、母の回復を祈るばかり。私も50代の真っ只中。この年になると、廻りからいろいろなことが起こってくる。それに対してなんとか精一杯対処して、経験と、なければ知恵で、さらに廻りのアドバイスを受けながら、乗り越えましょうか。