願いを込めた遊び心、安心院の鏝絵。

鏝絵

鏝絵って、知ってますか。というより、鏝さえ知らない人が多いかも。鏝っていうのは、家なんかを建てたとき、家の壁や、外の土塀を塗るときに、左官さんが壁材を塗るのに使う道具が鏝。そう。コンクリートを流し込んでから、平らにするために使っていますね。

最近は、壁のある家なんかめったとなく、新築住宅なんかプラモデルのように組み立てて、壁材なんかも、まるでレンガっぽくとか、板っぽくみたいな予めそれらしく見せる壁材が多くなって、低予算で済むんだろうけど、近頃の住宅は味気なくなっています。

はいはい、そんなことはさておいて。私たちは、安心院に行ってきました。お目当ては、鏝絵。要は、家を建てたときに、その外に見える壁に、なんらかのレリーフを残しておくのが鏝絵。つまり、鏝を使う職人の大工さんが、建築主に求めに応じて、様々な物語のある立体的な絵、レリーフとして色も施しながら完成したのが鏝絵なんです。

パンフレットには、鏝絵には幸福を願う庶民の素朴な想いが託され、江戸時代から明治時代にかけて、土蔵や民家の戸袋、壁に五穀豊穣、招福辟邪を祈る様々な絵柄、七福神、龍虎、鶴亀が描かれた、とあります。

そして今日でも、その左官職人の心意気が受け継がれ、お茶屋さん、美容室、印刷屋さんなどの新しい鏝絵も登場。私たちもいろいろと見て回りましたが、なかなか気が利いていて、眺めているだけでも楽しい。安心院町も宇佐市に合併して、ちょっぴり寂れているようですが、古いのも、新しいのも、鏝絵は粋です。素敵です。安心院はスッポン料理でも有名ですから、皆さんお食事を兼ねて、ぜひお立ち寄りください。おっと、大分県宇佐市安心院ですよ。