ワンチンコンチンが旅立って1カ月。

ありがとうワンチ

11月4日の深夜に、ほとんど18才になろうかというワンチ君が亡くなってから1カ月が過ぎました。今は、タンスの上に、ワンチ君のために買った老犬用の缶詰、ワンチ君も食べたという柿が供えられ、妻が飾った庭の花、首輪、そしてワンチ君の骨壺が置かれています。

ワンチ君が亡くなったとき、遺体をどうするか、ということになりました。ずーっと前に、ワンチ君が仲良しだったハスキー犬の絵夢がなくなった時は、山の中の公園近くの大きな木のそば、わかりやすい場所を選んで毛布に包み埋めたという。ワンチ君もそこへ。しかし、岡山の矢掛からさらに山奥は、この大分からでは遠すぎる。庭に埋めるのも、ここは借家。役所や保健所で遺体を引き取ってくれるらしいですが、それはどこでどう扱われているのやら。妻が住んでいた矢掛も、火葬してくれるらしいが、遺骨は渡してはくれないとか。妻は、遺骨だけでも手元に置きたいと。それはかわいがっていた愛犬ならば誰しも願うことです。

そこで、移動で動物の火葬を請け負う業者にお願いしました。ネットではなく、電話帳で調べた業者に。次の5日の朝、電話すると、この日はいっぱいで、6日になると。その日の午後1時にお願いしました。丸一日、ワンチ君は、いつものように寝ているかのよう、寝息すら聞こえてきそうな。しかし身体は少しも動きません。妻が、私が、かわるがわる様子を見ながら、陸も時折覗き込む。本当に最後のひとときでした。

次の日は、ほぼ時間通りに、アルミボディに煙突の見える2トン車が到着。火葬車です。家から電源を引き、ボイラーに火が入った模様。そして、戸が開けられて、いよいよ最後です。妻に抱かれたワンチ君を、台に乗せて、火葬です。陸も静かに見守ります。かすかに冷たい雨が降っていました。戸が閉められて、始まりました。奥の方で、ごーっと音が鳴っています。時間は1時間とちょっと、私たちは家の中で待ちます。妻は、押し黙ったまま、窓辺に座って車を見やる。ワンチ君と過ごした17年の月日を思い返しているのでしょう。

時間が来ました。戸が開いて、台が引き出されると、骨となったワンチ君。用意された骨壺に妻とふたりで、まだ熱気に包まれた骨を拾い上げます。頭蓋骨の一部に、黒い固まりが。ここがワンチ君の病巣だったようです。係の方が丁寧に説明してくださいました。そして、私たちの葬儀は終わりました。代金は2万5000円。残りのお骨に、初七日などの節目節目に供養をしてくださるとか。九州犬友社さん、ありがとうございました。今日も妻はこの写真を見て涙ぐんでいます。ワンチ君は、私たちがいる限り、そこにいます。いつも、います。ありがとう、ワンチンコンチン。