車窓から望む、朝の移ろい。

ソニックの朝

大分駅発、朝6時の特急ソニックは、満月に照らされ、真っ暗な中をホームから滑り出る。別府湾沿いを走っているのか、あるはずの海も真っ暗。国道を走る車のベッドライトだけが動いている。

6時18分、まもなく杵築到着か。ようやく空と、山や木々の区別がつきだしたのだろうか、かすかに空が明らんだのだ。しっかり東の方を覗き込むと、地面の方に、ほの青い空が広がっている。杵築を出ると、西の空で満月が行ったり来たり。いつもながら車窓の月は愉快。この辺は特にカーブが多いからね。

6時27分、東の空、下の方が暗い朝焼けのようなピンク色に、暗い青からグラデーションを織りなしている。山のシルエットがくっきりと浮かび上がった。厳粛な朝は、ひとつひとつ段階を踏んで現れるのだ。

山間を抜けて宇佐に着くと、空は白みはじめた。切り株だらけの田んぼも家並みや樹木も見えるようになった。田園地帯に朝靄がたなびいている。それが後方に飛び去っていく、列車に乗っているからこそ、わかるのだ。柳ヶ浦に着く頃には、進行方向の西の空に、月は張り付いたように、動かない。

7時、宇島を出た頃に、月は今にも朝靄に飲み込まれようとしてる。振り返ると、東の空が輝きだした。キラっと眩い。日の出だ。地表の靄を振り切るように、真っ赤な朝日が、登った。誰も彼も見守るだけの、朝のクライマックスは終わった。人は、太陽に気を得て、動き出すだろう。特急ソニックも、小倉を目指す。朝日を受けて、タバコを一服したかったなー。全車禁煙だもんね、時代の流れですか。