アケビ、陸と散歩、太刀魚の塩焼き。

あけび

ちょっと遅い昼寝から目が覚めると、フルーツのおやつが待っていた。なんと、アケビ。微かに、何十年前だろうか、子供の頃に食べたような。ほんとに、微かな、微かな記憶。

がぶっと食べる。妻が、種は食べられないからね。出してね。と言う。口の中で、種がしゃりしゃりと。もわっとした果肉というか、じっくり味わう内に、ほのかな、微かな甘みが広がる。懐かしい、遠い記憶の中から何かを呼び覚ますような、わずかな甘み。口の中で、種を選り分け、放り出すのは結構面倒くさいけど、素朴な味わい。なかなか、いいです。ほんとに、前は、いつ食べたっけ。確かに、食べたことはある。そんなおぼろげな記憶を楽しむことができた。

さて、もう5時も過ぎたか。この4日間は夕方の散歩も妻が受け持った。私がしばらくいなかったというのに、もう陸君は私の様子を上目遣いに窺い待っている。私は散歩用のジーンズに履き替える。途端に、彼は大きく欠伸をして、身体を伸ばしたり曲げたり、ウォーミングアップをはじめた。いつもながら鋭い。玄関に向かうとしっぽを振って付いてきた。ういやつ。

近隣の住宅街や雑木林は、少し秋らしくなったのか、空気が涼しい。結局、1時間くらいの散歩になる。疲れている私を気遣ってか、そんなに引っ張ることもなく、夕暮れの日課は終わる。さあ、風呂入って、飯。風呂から出て体重を量ると56.7キロ。よしよし、不規則な食事をすると、体重は減るもんだ。これを維持なんて、難しいだろうけど、せめて58キロは超えないようにしないと。

久しぶりの整った食事。太刀魚の塩焼き。肉じゃが。粕漬けの漬物。殿ちゃんも椅子に座り、陸君はテーブルの下で待機する。いつも通りの夕餉がはじまった。おさかな、おいしいよね、殿ちゃん。陸君、もうちょっと待って、わっ、よだれが。なんて落ち着く食事だろうか。まだ、あげるって言ってないのに。は、は、は。夕食後のデザートは、最後のぶどうだった。あの、矢掛からのロザリオ・ビアンコ。そして、夜食にも、早速届いた矢掛の梨をいただく。おお、二十世紀梨。しゃくっと、あまーい。こんなに甘かったっけ。豊水幸水が今や一般的だが、二十世紀はさっぱりした懐かしいおいしさだ。あっという間に、食べちゃった。心配だなー、私の体重。