26日、都バスに乗る。

都バス乗る

今回、ちょっと東京での感じたことを、私なりに振り返ってみる。寝台列車が東京駅に着いた後は、とっとと荷物をコインロッカーへ放り込んで、八重洲口からバスで目的地へ向かう。

なぜバスを選んだかというと、東京駅の最寄りの地下鉄は、ずーっと歩いて丸ビルや新丸ビルのほぼ下の、地下2階あたりに駅はある。遠いのだ。歩けば電車に乗るのに5分はかかるだろう。さらに、その先でも乗り換えが待っていて、最寄り駅でも、電車からホームへ降りたら、地上に出るまで、またエスカレーターや上り階段の繰り返しだ。

のどかな地方に住む人は、歩いて5分のコンビニも車で乗り付けるという。これは冗談ではなく、本当。私も最近そうです。妻は、岡山の矢掛で長くそんな生活に慣れていたから。

八重洲口のバス乗り場は、様々な工事があるようだ。確か、駅両側のビルを起点に駅の外観を作り替えているはずだから。バス停のちょっと先に、工事のためか、金網に囲まれたエリアに、草ぼうぼうの雑草地帯。こんな場所でも、草は育つ。虫でも鳴けば風流だろうけど、こんな場所ではね。人は気にもとめないだろうね。

バスに乗って、一番後ろの席に座って久しぶりの東京を見回す。しばらく走ると、いつの間にか、白髪のおばあさんが乗っていた。しかも立っている。その横には、若い女性や、中年のビジネスマンが座っている。めちゃ混みではないけれど、どう見ても不自然。東京には、優しさがない。思いやりがない。きっと席を譲ろうと思う、心の余裕もないのだろう。私が、気が付いてから、3つ目くらいのバス停で、おばあさんは下車した。立ったままだった。それが、東京ですかい。

27日、上野の朝を迎える。

26日の夜は、上野のビジネスホテルに宿泊した。ここは半年前、杉並のマンションの家財道具を一式を引越屋さんに搬出してもらい、不動産屋さんに鍵などの引き渡しをした、大分に移動する前日の夜に宿泊したホテルだ。

ここはインターネットに繋がるのがいい。7350円と安いのがいい。些細ながら朝食の付いているのがいい。が気に入ってネットで予約したホテルだ。3カ月前の東京では、このホテルは取れなかった。今回は、念のため、10日前にヤフーでキープした。

超快適というわけではないけど、ブログがホテルで更新できれば文句はない。しかし昨夜は更新ができなかった。前日、前の会社の仲間が、わざわざ上野で集まってくれて、11時頃まで飲んだ、話した。そんなわけで、寝て、起きて、飯を食って、朝、パソコンにメモを書き込むのが関の山だった。今晩は、ちゃんとしよう。

このホテルは、焼肉街の一角にある。朝鮮系の食料品店もある。キムチが旨そう。私は歩道橋を渡って、駅に向かう。電車が行き交う高架の向こう、森の中にブロンズ像が見える。そうか、あれが西郷隆盛銅像か。ついぞ、あんな場所にあり、ここから見えるとは知らなかった。26年間東京にいたけど、一度も正面から見たことがない、ということだ。そんなものが、東京にまだまだ残っているのだろう。もう、どうでもいいことだが。

視線の先に、歩道橋の片隅でうずくまるおばさん。ちょっとこぎたない。白髪の交じる髪の毛もまったく艶がない。もしかして、ホームレス。ん、ん、ん。横を通るときチラリと見ると、手にはしっかりと携帯電話が握りしめられている。着るものは薄汚れて、荷物をカラダの中に抱き寄せて、ぴくりとも身動きしない。寝ているのか。時間は、朝の10時少し前。しばらく歩くと、また階段にひとり座り込んでいる。これもおばさん、もうおばあさんか。こういう生活が実年齢よりきっと老けさせているのだ。人が集まり、膨れ上がる東京。それでも、生きてはいける。東京は、甘えられるのか、厳しいのか。握りしめた携帯が、世の中と繋がっている。