29日昼、大分駅に到着する。

大分へへ軒と

下関に到着して、先頭車両の機関車を付け替えるため、5分間停車。ほどなく出発して、関門トンネルを渡り、門司に到着する。東京発の寝台列車はここで、熊本行のはやぶさと、大分行の富士を切り離すわけだ。

列車が門司駅に停車すると、何人かの乗客がばらばらっとホームに現れた。やはり、この一瞬を見逃すまいと、みんながカメラを持って待ち構える。ある人は、見事なデジタル一眼レフ。ある人は、コンパクト一眼レフ。今日は29日の土曜日、仕事が休みなのか、今回は人が多い。

小倉、そして行橋を出ると、道路が濡れている。ドライブインの駐車場に水が溜まり、白く光っている。空もどんよりと雲が立ちこめて、今にも降りそう。時折車窓に小さい雨粒が横に走る。晴天続きで、一向に秋らしい気配がなかったが、これで涼しさが戻ってきたのか。

中津と、特急ソニックに追い越された宇佐を過ぎて、立石付近の山間。たわわに実った田んぼの傍らに、すすき、コスモス、カンナ、彼岸花がまとめて咲き誇っている。いやー、この辺りはしっかりと秋です。

杵築で15分も待たされて、またソニックに追い越される。いやはや。ようやく出た。池の直ぐそばの木立に止まる数羽の白い鳥、鷺だろうか。この辺りを巡れば、絶好の被写体が数多く潜んでいそうだ。ほんの一瞬の車窓からでも、目に焼き付けたい、と思う風景が次々と現れる。東京へ行く途中に窓から見た、一眼レフを持った田んぼの中のおじさん。その彼の目に映る風景が、わかる気がした。

列車は結局また遅れた。特急ソニック優先のダイヤは、ローカル列車が30数分の遅れも、通過待ちなどで、ぴったし1時間遅れにしてくれる。営業姿勢がきっちりしてます。大分駅に到着すると、乗客は出口の方へ向かうのが普通なのに、鉄道ファンの彼らは先頭の機関車の方に向かった。なるほど、それでにわかに先頭車両に人が集まっていたのか。私は、改札口へ急ごう。妻が迎えに来てくれているから。