早いもので、もう一カ月。


犬の陸が15歳で亡くなってから、今日ではやくも一カ月が経ちました。その後は、たまに、犬の散歩でよく出会っていた人と会うと、「最近、お見かけしませんけど」ということになる。するとその説明として、陸が死んでしまってもう一緒に散歩に行くことはなくなったことを言わなければならない。それがまた、結構つらかったりするんだよね。やっぱりその時の悲しみをまたありありと思い出してしまうから。まあ、そういうことも1カ月経つとようやく少なくなりました。そして我が家では、真っ白けだった紺色の絨緞はきれいに掃除をして、抜け毛が舞っていた廊下もいまでは埃もなくきれいになった。その色鮮やかな絨緞や廊下を、今は猫の殿がぬたりぬたりと歩いている。殿には陸のいない今はどう感じているのだろうか。ところで、陸はほぼ1歳くらいで2000年5月に動物愛護協会から妻のところにもらわれてきたという。つまり陸は生年月日がわからない捨て犬だった。岡山の山の中を、やっぱりシェパードのお父さん犬と数匹の子犬で逃げ回っていて、いちばんドジだった子犬の陸だけが捕まったそうな。どこかのブリーダーが、陸たちの家族をまとめて山の中に捨てていった、ということらしい。15年前だけど、まったくひどいことをする人がいるもんだ。世の中で身勝手なのは本当に人間だけなんだよね。犬たちは生きるために食料を求め、非情な人間から逃げようとしただけだから。その陸だけど、なぜか人が手に持った棒のようなものを恐れたり、三輪車がきしきしと音を軋ませて近づくと警戒の目を向ける。たぶん、生まれてから逃げて捕まったときまでに、そんなものにまつわる嫌な思い出がすりこまれたんだろうな。ブリーダーっていうのは結局は儲け主義で犬を生産しているだけなんだ、というイメージが私の中にはある。ペットコーナーのガラスの向こうに、かわいい子犬や仔猫が気持ちよさそうに過ごしている。でも、その背後には悲惨な現実があるんだと思う。ペット売り買いして儲けようなんて言語道断だと私は思っている。もう私が何を言いたいかわかりますね。ペットショップで犬や猫を買わないでください。その前に、ぜひ保健所や動物愛護協会に問い合わせてみてください。その犬や猫に、辛い思い出が積み重なる前に、救い出してくださいな。無理にとは言いませんけど。陸は妻と巡り会って幸せだったんだなあ。写真は陸が8歳のとき。