まだまだ片付けられません。


まだ廊下には陸の抜け毛のかたまりが転がっています。私たちが歩くとふわふわと追いかけてきます。そういえば陸はいつもお母さんの後をついて歩いていましたね。ダイニングルーム片隅の毛布もそのまま。私たちが食事をするときは、寝そべって私たちの様子を眺めていました。もっと若い頃は、テーブルの直ぐ横でお座りして、おすそわけをおねだりして待っていたのですが。さすがに晩年は、私たちのおすそわけでお腹をこわすことが多く、あげることができなくなっていましたから。2階のベッドの下の毛布や布団もそのままです。今でも深夜は寝ている陸を起こさないようにそろりそろり歩くことがあります。そうだ、もう陸はいないんだった。まだまだ陸の思い出が、あちこちにしっかりと残っています。たとえ片付けても、思い出が消えることはないのに、まだまだ陸のものが片付けられません。ま、そのうちに。