チョコレートは旅立った。


その日は部屋中に甘い匂いが満ちていた。チョコレートの匂いだ。菓子用のチョコレートを買ってきて、それを溶かしている。妻がドンクで買ってきたバゲットを1センチ厚にスライスして、それにバターを塗り、塩パッパでオーブンで焼き上げ、それがラスクとなる。このラスクだが、材料となるバゲットの違いで、だんぜん香ばしさが、おいしさが違うのだ。妻も私も、ラスクの材料としては、ドンクのバゲットが一番おいしいと思っている。そのドンクで、一回に焼き上げるバゲットは4本が限度だそうだ。はい、その4本をこのためにすべて買い占めました。そのラスクに、妻はチョコレートを塗っている。見た目は、まあそんなものかな。でも、頭で想像するとおいしいんだよね。子供の頃、チョコがかかったドーナツを食べるときは最高の幸せだった。普通のドーナッツの何倍も何倍も幸せでおいしかった。なんで、いつもドーナッツにチョコをのせてくれないの、と思ったくらいだ。で、夜になってから、妻のチョコ乗せラスクをかじった。ラスクだけもおいしいが、チョコ乗せラスク、とってもおいし〜い。そうだ、これはあの感覚だ。昔、グリコでプリッツという細長いスナックが登場した。それはそれでおいしかったのだが。次に、そのプリッツにチョコをコーティングした菓子、ポッキーが登場した。これが、今までの概念を越えてとってもおいしかった。妻のチョコ乗せラスクは、その時の感激を思い出す。そして、そのチョコ乗せラスクは、旅立っていった。明日、つくからね。お楽しみにね。私はお先に、ちょっぴりいただいちゃいました。