犬の陸君の、すごい下痢。その後。

ふてる陸

月曜の朝となった。妻が、いつもの朝の散歩に行って帰ってきた。やはり、下痢状態。この日は、さらに昼過ぎ。これも、プピー状態。ところが、夕方の散歩で、全く、んこの素振りがなかった。ここでもう一日、様子を見ようと。そして8時半くらいにまた陸が動き出した。陸がリビングのベッドから起き出すと、玄関の隣の部屋で悠然と伏せをして、しっぽを振りながら落ち着いて待っている。それほど不安そうな表情もない。行きたいの、と声を掛けても、しっぽを振るだけ。ただ心なしか、彼の息が荒い。これはやばい。

また私と陸は玄関を飛び出した。外へ出ると陸は走る。草むらを目指して一直線。ガサゴソと奥へ入り込み、プピー。なんだよ、やっぱり焦ってんじゃん。これで決まった、明日は動物病院。この日は、さらに深夜の12時にもう一回。散歩の回数、日曜が6回で、月曜は5回。多いことに変わりはない。

火曜日は、朝の6時に、さっそく陸が動き出した。妻が行く。帰ってくると、やはり下痢状態という。午前中に病院へいくことにするわ、と。状況を聞いてから、私はまた眠りに入った。妻もベッドに戻った。まだ、朝の6時半だもの。そして、妻は通常の散歩、9時前に出掛けて戻り、11時過ぎに動物病院に行った。その後、午後の3時頃にまた動き出して、私たちは飛び出す。草むらに入って、またブピー。辛いんだろうな。薬は、まだ効いていない模様。その後、夕方の通常の散歩は、また、んこの素振りもなかった。その代わり、夜の9時頃にまた外に出た。この時は、でた。

さて、後で妻から聞いた話。妻が連れて行った動物病院で、入るなり受付のカウンターに前足を掛けて、係の女性をしげしげと見たという。なんでえ、君は病人だろうが。いきなり受付のねーちゃんに媚び売ってどうする。まったく、私もその場で、陸の様子を見たかった。惜しい。で、診察室に入るとしおらしくしていたらしい。先生がおとなしいワンちゃんですね、と感心していたそうな。注射にも動じなかったらしい。その後、薬を出されるまで待合室で陸は、キリッとお座りしていたらしい。陸はいろいろな人目があると、いい子ぶるというか、格好良く見せようとする傾向があるみたい。

そして、火曜日は夜の9時が、んこの最後だった。それ以降の夜も注意深く見たけど、彼が外を窺う気配はない。ところで、この日の夕食は、鮭と鶏肉のちゃんちゃん焼きで、鮭も鶏肉も、陸の大好物。私たちは、テーブルでそれらをせっせせっせと食べる。いつも通り、陸はテーブルの横に来て、お裾分けに与るはずだったんだけど。今日は、絶対あげられません。私たちは黙々と鮭や鶏肉を箸で口に運ぶ。それを目で追いかける陸。恨めしそうな目。なんでくれないの。僕は待っているのに、おいしそうなのに、食べたいのに。そう言っている。ダメだってば、今回ばかりは。陸と目線を合わさないようにして食べる。でも、彼はお行儀良く待っている。ごめんね。私たちの食事は終わった。何にももらえなかった陸は寂しそう。妻は好物の竹輪を取り出し、穴に薬を詰め込んで陸の口に押し込んだ。早く、治ってね。

そして次の日の水曜日。朝の妻の散歩は、んこの素振りもなかった。私との夕方の散歩で、ようやく、した。柔らかかったが、とにかく取れた。それ以外は動き出すこともなく、散歩の回数は、通常に戻った。動物病院のお医者さん曰く、やはりペットホテルの宿泊、つまり今まで経験したことのない環境に置かれたことによるストレスが原因でしょうと。うーん、まだ私との付き合いは9カ月だが、陸は総じて大人しい。しかしおどおどしている様子はない。不審な人物が近づくとしっかり吠えてくれる。動物は総じて環境には敏感なのだ。私たちも、彼らに対して敏感にならなければ。