テレビは、CMがおお〜てかなわんわ、と父が。

90歳で今はマンションでひとりぐらしの父。部屋の中で、唯一の娯楽というのはテレビを見ること。その父が、最近こぼすのは、「ほんまにテレビは、コマーシャルがおお〜てかなわんわ」と言う。確かに、時間を計ったことはないのだけれど、昼間のテレビって、なんだかコマーシャルの時間が多くって、しかも長すぎないかい。それに、平日の昼間って、いかにも主婦やお年寄りをターゲットにしたコマーシャルが多い。「飲むヒアルロン酸です」「いつまでも若々しく」などと。そんなコマーシャルに、父はうんざりするのだろうね。

さらに父は「事件もんや、刑事もんは、同じ事ばかりやっとる。やっぱり、勝負事の方がおもろいわ」と。そうか、昼間のテレビって、刑事物のドラマや、推理小説を脚本にした事件ものの再放送が多いのですね。確かにそうです。よくテレビで2時間スペシャルって、ほとんどが西村京太郎とか、山村美沙とか、または事件もののストーリーばかりですよね。考えてみれば、テレビ局って。その手のたぐいのものを作っておけばある程度、視聴率が取れると踏んでいる。だから、テレビをしっかり見ている、父のような年寄りは、同じことの繰り返しにうんざりする。

父が言った、勝負ものが面白い、それは特にわかります。私は見ないけど、今は大相撲の真っ最中。父は見るのを欠かしていないはず。そのちょっと前は、女子バレーボールの選手権がありました。ルールがあんまり分からなかった父も、その躍動感にちょっとは興味がそそられたよう。日本シリーズプロ野球、野球は好きですから。スポーツは結果がどうなるか、分からないから面白いんですよね。だから、父の言う、勝負ものが面白い。まさにそうですね。今日、Qさまで、高校生特集をやっていました。これも、勝負ものとしてみれば、面白い。その前の、あたりまてん、だっけ。芸人って、邪魔な感じがした。

で、ふと、チャンネルを変えると衛星放送で、三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」をやっていた。後半の40分だけしか見れなかったけど。やはり、面白い。前半を見ていないにもかかわらず、映画に引き込まれてしまう。なんていうか、舞台劇のようなノリなんだな。テンポもいい。しっかり作っている、ドラマというか、映画は楽しい。最近のテレビドラマは、制作現場も、きっと楽しくないのだろう。だから、テレビがどんどんつまらなくなる。父のように、長く生きている人には、面白いか、つまらないか、それが分かるんだろうな。ああ、面白かった、で、あとはなんだか気持ちがよくなる。そんなドラマを作れないのかね。殺人事件ばかりのドラマじゃ、やっぱりつまらないんだよね。暗すぎて。悲しみより、楽しさ、喜びなんだよね。テレビ局は、間違っているよね。